9.1人はみんなの為に、みんなは1人の為に

(南の部屋・夕方)

南は窓の外から夕日が見えるなら本を読んでいた。

本を読んでは1枚ずつめくってを繰り返していた。

南の内心では「産まれてくる時は沢山の産婦人科の看護師さんやお医者さんやら携わるのに亡くなる時も同じように別の誰かが携わるのなんか1人のために何人分の人が人生で動いてるのか実際に想像するだけで万は超えてたりして…」と心の中で生理をして肘を机について手を頬に当てて軽くため息をついて窓の外を見て夕日のゆっくりと進むのを見ながら机の引き出しにあったノートに今日の思ったことを書き留めるべく、ペンを取って書き始めた。


(早朝の通学路・誠)

誠はいつも通りの表情で通学路を渡っていると南がいつもと違う店舗で「おは」はテンポ高めで「よう」は低めのトーンで挨拶をしたので誠は少し立ち止まって「おはよう」と落ち着いた返しをしながら質問をする誠「どうかしたのか?」と聞くと南は「いやっ特にこれといって何かあるわけじゃないよ」と少し目を横にそらすと誠は目を細めながら見つめた。

南は誠の目を見て「何よ、その目は」と軽く怒り気味に言うと誠は小声で「何か隠してるな?」と目を元に戻した。

(電車内・誠)

誠は南の話に対してこう言った「まぁ確かに旅行に行くにしても新幹線や飛行機も操縦したり乗り物を点検したり中で食べ物を売ったりするし駅には駅員さんもいるし、1人のために大勢が携わることはよくあるさ」と南に説得させると南は「じゃあ例えばだけどみんなは当然の如く生活の為に仕事をします、でもその仕事が誰かのためになってるとします、だけど表で活躍してるアイドルとか芸能人とかそういった特殊な部類の仕事をしてる人たちもいるけど、あれはどう思う?」

誠「あれは本当にごく稀なタイプさ、実際にアイドルを裏で支えてる存在を考えてみてよ、CDをレコードしたり衣装を作ってくれる人がいたりする、それはつまりあの人たちが表に出れてるのはみんなが助け合って輝いてるのさ、いわば神輿に乗せられた殿様〜とまでは言わないがそれに近いかな?」

南「そうなの?殿様は握手できないけど」と返すと誠は左足を軽くこけらせながら「例えばの話だよ、例えばのマジで捉えんなよな〜」と参った表情で南を見ると南は「でもさ、実際に裏方で働いてる人がいるから大きな建物のビルとかトイレとかで安心して便利に使えてる訳だよね? でもみんなが思うのって自分が楽して稼げる方法とかだよね、そこら辺はどう思う?」と聞くと誠は「それはな、人には役割とか順番とか位分けがあるのよ、そこの考えは同じだけど実際は権力争いよりも可愛いものさ、だって自分が務める仕事は誰かの推薦とはいずれも限らない、そうなれば誰からも文句言わせないし言われる筋合いすらない訳だから」と伝えると「じゃあ私が仮にコンビニで働いたとしても?」

誠は軽く頷いた。

(幸太郎・職員室)

幸太郎はA4サイズの封筒に書類等をまとめていると工藤先生が「そういえばこの間の出張での健康診断の結果、どうでした?」

幸太郎「特に異常はなく健康的で中肉中背な一般的な人間です」と返すと工藤先生は顔を濁らせて「はっ、はぁ〜」と変な返事をした。


(2年B組・3限目)

先生黒板に書いてた文を説明している中で那月は誠の授業を受ける様を軽く見ていたり誠も時には後ろを見て那月と目が合ったりしていた。

そんな中で菜月は思いを伝えることが出来ないまま時が経とうとしていたのでした。


(2日後・朝)

朝のチャイムが鳴る中、那月のいる机には誰も座っていませんでした。

クラスの男子が話していた。

モブA「あれ?あいつ珍しく欠席か?」モブB「風邪でも引いたんじゃないか?」

モブA「珍しいな〜俺も仮病いで一日だけ休んだことあるぜ」と話している中、誠は少し悲しい表情で机を眺めていると先生が入ってきた。

先生の後ろには見慣れない顔の女子生徒が教室に入ってきた。

先生では転校生の自己紹介を始めます。とクラスの子に聞こえるように話して転校生の山田さんに先生は小声で「では自己紹介をどうぞ」と言った。

その女子は「山田美緒と申します、よろしくお願いします」と言ってみんなはかるく拍手をした。

先生「はーい、では空いてるあそこの席について」と言った。


(那月のおばあちゃん家・朝)

那月は荷物を置いた。

おばあちゃん「荷物はそこで大丈夫だよ」と言って那月は「ありがとうおばあちゃん」と言った。

引越し業者は「これはここで大丈夫です?」と聞くので那月は「そこで大丈夫です」と返した。

去っていくトラックに殺風景な景色に程よく吹く風に緑がいっぱいで誰からも文句を言われずゆっくりとした環境の田舎にやってきた那月。

那月は手帳に「誠くんと付き合いたかったけど、思いをいえずじまいだったな…」と手帳を胸に当てて空を眺めた。


(2年B組・昼の放課)

誠は珍しく窓の外の空を見ながら内心では「今頃、那月さんは別の環境に行ってるんだな」と思いがいえなかった自分に対して悔いに感じながら浸っていた。


(体育館・部活動時間)

バスケ部の豪太は南がバレーをしているのを見て今日もチラチラと見ながらバスケをしている中で南は同じ体育館でバレーをしていた。

水分補給をする時の南が豪太のプレイを見ていた。


(帰宅・誠)

帰宅しながら空を見上げてため息をつく誠。


(田舎の道・17時)

空を見てため息をつく南。


(帰宅・誠)

南「珍しく元気ないね、どうかしたの?」と聞くと元気がない声で誠は「別に」と言った。

南「吹奏楽部を抜けたのがショックだった?」

誠「いやっそうじゃないけど、なんか1人がいないとこうも虚しいんだなって」

南「どういうこと?」

誠「1人はみんなの為に、みんなは1人の為に…」

南「体調悪い?」

誠「心配ありがとう」と言いながら歩いていた。


(職員室・帰宅時間)

山田美緒は担任の早川先生に対して「私、吹奏楽部に入りたいです」と言って早川先生は「良いわよ、丁度…1人分が足りなくて困ってたところなの、助かるわ」と言うと山田は元気な返事で「はいっよろしくお願いします」と言った。

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