7.俺の名は西園寺幸太郎

街に夕焼けが広がる中、学校の図書室で幸太郎は本を片手にして窓を軽く見上げてこう言った。

幸太郎「俺の名は…西園寺幸太郎、ごくごく普通に生きてきた私はこうして本を片手に読みながら生徒たちのプリントを見つつ夕日に涙が少しこぼれ落ちそうだ…、なんて言ってみたかったな」とイケボを作る怪しい雰囲気をか持ち出していたのを1年の女子生徒が見て慌てて帰っていくのを幸太郎は見て「はははっ、きっと私が夕日で輝きすぎて眩しくてどこかに逃げたくなるぐらい惚れたのだろう、わっはっはっは」と自画自賛と同時に笑いだしたのでした。

幸太郎は本を見ていると釘付けになって見ているとあくびを軽くしてプリントや筆記具等をまとめて本を棚に戻して図書室に誰もいないか見渡すと図書室の広告に"新庄市イベント7月1日〜10日までイベント開催"というのを見て幸太郎は頭の中で記憶が蘇り「あれ?今って6月の下旬だよな…待て待て、もう7月とか今年の3分の2もあと2ヶ月で終わるじゃねぇか…」と急に焦りだした。

幸太郎はハンカチで額の汗を拭きながら図書室の鍵を閉めた。


(音楽室・夕方)

南が音楽室で練習をしていると先生が来た。

先生「こんな時間まで練習してたのか?」

南は立ち上がって「はい、コンクールがもうすぐなので」

先生「それはいい心がけだな、だが中間テストも忘れるなよ」

南は軽く汗を垂らして「あっ、お気遣い・あっりがとう・ございます」と変な口調で返事をした。

南は音楽室前の廊下で先生に「ではさようなら」

先生「さようなら、気おつけて帰ってね」と目を細めた笑顔で見送りつつ音楽室のドアを閉めて鍵をかけた。

南の内心では「あーあ、今日の部活中に何故か豪太が頭から離れなかったのなんでだろ」と思い豪太の行動を振り返った南。

(2日前の体育の授業・2限目)

南や他の女子達はバレーをしていた中、男子は別でバスケをしていた。

南はボールを羽返そうとするも遠くに飛ばしてしまった。

バスケをしていた男子たちのところに受け取りに行く南。

佐藤「ほらよっ」と渡されて南「ありがとう」と言って戻ろうとすると豪太が楽しそうにしているのを見ていた。


(現在の南・帰宅途中の通学路)

南「いやいや、豪太が好きなんてことは無いよね…」と苦笑いしながら小走りで帰った。


(誠の部屋・夕暮れ時)

誠の部屋の目覚まし時計は7時を経過していた中、窓から見た外の明るさはそこまで暗くなく薄暗くなるのにゆっくりとした安心感に包まれた陽の沈む感じを眺めては課題をしつつ、思ったことを横のノートにポエムで書き込んでいた誠はふとペンを置いて引き出しに閉まってあったグミを1つ口に入れて「やっぱりグミって車のタイヤを食べてる感じがして楽しい」と勝手に車のタイヤをかじっている自分を想像しながら再びペンを手に取った。


(幸太郎の家・夜)

幸太郎は家に着いた。

玄関で靴を脱いでいると胸にしまってあった携帯がなったので取り出して誰からの連絡か確認すると悟からだったので出た。


(市の公園・夜)

悟「そういやさ、悲報があるんだけど伝えてもいい?」


(幸太郎の家・リビング)

幸太郎「なんだ?またやらかしたのか?」


(市の公園・夜)

悟は携帯に向かって少しだけ声を高めて「違うよ」と言い「ただ、作品を壊した犯人が俺ってのをバレたかもしれないんだ」


(幸太郎の家・寝室)

幸太郎は驚いた表情で「何っ?まさかもう噂になってるとかじゃないよな?!」


(悟・声)

「違うよ! 聞かれただけでまだ話はそんなに大事じゃない、でも俺も早いうちに壊した作品の本人に謝るべきだとは思った」


幸太郎「お前ってやつは」と口に手を当てて少し半泣きしながら「見直したぞ?」と頭を軽く上下に振りながら言うと


(悟・声)

少し冷めた目で携帯の画面に「あっ、あざますっ」と言って携帯の通話を強制終了させた悟。


幸太郎は茶封筒を開けて中身を取りだして封筒を捨てた。

封筒の中に入っていたのは健康診断の結果だった。


(南・就寝時)

南は髪の毛をいじっていると鏡に写っている自分の目を見た。

【南・M】

「本当は誠くんも私を不細工って思ってるのかも…」と思い寝ようとした南に対して南の頭に「不」の文字が落ち、その次に「細」が落ち、そして最後に「工」が落ちて縮んだ南の思想の世界を自分で破りちぎって「違う違う、何勝手な妄想してるんだか」と言って布団に潜り込んだ。


(那月の部屋・夜中)

那月は月を見ながら「私も南さんのように誠さんの横に並べたら良いのに」と言って窓を閉めた。

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