2.探し物はこれですか?
誠は家に帰るために駅のホームで待ちながら南と話をしていた。
ポケットに手を入れると誠は「あれ?ハンカチがない」と慌ててバックの中も見たが無く、南は「ハンカチがないの?」
誠「あれっ…おかしいな どこかで落としちゃったのかな…」と困っていると電車が駅にやってきた。
電車に乗る2人はドアの横に立った。
車掌「ドアを閉めます ご注意ください」と言ってドアが閉まり走り出す電車。
南「ハンカチは明日学校で探すとして、それよりも誠は1週間後の美術館に展示する作品はどうなるのかが問題よね…」
誠「あぁそれなんだが、ようやく乾かす段階にまで先生が協力してくれたんだけど、」
南は顔を伺いながら「けど?」
誠「なんだか嫌なことばかり続いてて俺の運勢最悪だなって」
南「そんなハンカチ落としたことなんて些細な事よ、むしろハンカチなんてバイトして手に入れることだってできる」
誠「そりゃあそうだろうけど、物に対して鈍感にはなりたくないって言うか」
南「それはまぁ疎かにするのは違うんだろうけど、ハンカチはプレゼントとかだったらそりゃあ思い入れはあるんだろうけど100均ぐらいのすぐ買える物とかならちょっと考えようだよね」
誠はカバンを軽く握りしめた。
車掌「まもなく勝場駅、勝場駅です お出口は右側です ドアから手を離してお待ちください」
駅の改札を出た2人は手を振って南は「じゃあまた明日ね〜」と言うと誠も「うん、また明日〜」と言って南が帰っていくと誠は笑顔の表情から少し落ち込み気味になりながら帰った。
(誠の家・玄関)
誠「ただいま〜」
母「おかえり、随分と遅かったわね」
誠「学校でちょっといろいろあってさ、そんなに気にする程ではないけど」
母「そうなの、あんまり無理しないでね」
誠は階段を上がってカバンを机に置き、制服を脱ぎ、パンツ一丁でベットに倒れ込んだ。
少し顔を上げて時計を見つつ「もうこんな時間か」と言ってお風呂場に向かった。
食事をする誠は母の喋りも聞こえないまま無言で嫌なことを連想しながら食事を進めていた。
部屋に戻った誠は課題と明日教材をバックにしまって部屋の電気を消してベットに入った。
誠は「なんだか嫌なことばかり思い出して何も良いことが無いんじゃないかな」と言って目をそっと閉じた。
(真夜中・公園)
謎のスーツの男がジャージの姿で公園の木々に封筒を隠していた。
スーツの男は周りに見られてないか確認しつつ隠していると夜中に散歩していた年寄りがいたのでスーツの男はランニングをする振りをしてその場から去った。
その謎の男はランニングシューズがオレンジ色で夜にしては目立ちやすい色をしていた。
T・天の声「なんで黒とかにしなかったのかは誰にも分かりません」
(早朝・公園)
年寄りの夫婦が朝に散歩しているとおばあさんが「あれは何かしら?」と封筒を手にするとおじいさんは「誰かの落し物じゃろ、交番に届けて返してあげましょ」
おばあさん「そうしましょ」と言って持って行った。
その向かいの方を走っていた誠は毎日のように朝に軽くランニングをしていた。
フルートを担当している誠は息継ぎをする為に日頃からコンクールの準備をしているとお年寄りのおばあさんが歩いていたので「おはようございます」と挨拶をするとおばあさんも「おはよう」と頭を下げて誠は先に進んで行った。
誠の内心「俺は些細な事で挫けたらみんなに迷惑がかかる、だから少しでも頑張らなくちゃ」と自分の胸に手を当てて走った。
(学校・昼の放課)
チャイムがなり始め先生は「ではここを知っておくように、起立」
生徒は立ち上がり
先生「気おつけ、礼」と言って先生は荷物をまとめると女子生徒が「これ、ハンカチが教室の隅に落ちてて」と言って渡したのを誠が見ると「誠は俺のです」と言って先生は「君のなのね、はい」と言って返してもらうと誠は「ありがとうございます」と女子生徒に言って誠が隣のクラスに行くのを眺めていた。
彼女の名は佐藤那月、誠とは小学校の時に2回ほど同じクラスになったことがあるが対して親しい訳ではなかった。
隣の教室C組にいる南に対して誠は「今日はついてる日だぜ〜」と廊下から南に言うとC組にいたバスケ部の豪太が「おい、ラブラブカップルのお出ましか?」と言うと南と誠は息を合わせて「そんなんじゃない」「違う」と言ってクラスの人達が笑って照れながら誠は去っていくと南は「バカッ」と小声で照れながらいた。
すると学校の窓からは雲行きが怪しくなり雨が降り始めた。
(公園・昼)
公園でも雲行きが怪しい雰囲気で雨が少しずつ降ってきた。
封筒が隠されている場所に雨がポツンポツンと落ちた。
そこにスーツの男が慌てて探しに来たが封筒が見当たらず男は「どこに行ったぁぁー」と雨雲に向かって叫んだ。
T・天の声「雨雲に叫ばれても困るよねw」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます