第15話 空を見つめて

「母ちゃん!出来たよ!」


春の暖かな日差しは冬の服装を一変させて眠りを呼び寄せ今日も今日とて母親と俺は一緒に家の外にある倉庫のウッドデッキに腰掛けていた。

俺はその膝の上で昼寝をしていた時にジャックが声をかける。


「上手に出来たね」


優しく声をかけて<出来た物>を受け取る。

普通ならこの手の子供が持ってくる自作品といえば泥団子とかなんだけど…。

ん?棒??

柄が90cmほどの長さで直径3cmくらいの棒だ。


「へへっガッチリ固めてあるから婆ちゃんにあげるんだ」


そういえば最近木で作った杖の先端が削れてしまって使いずらいとか言ってたな。

あれ?でもその杖引き摺って遊んでたのはジャックだったような??


「うんうん、少し重たいけど喜ぶと思うわよ」


この杖を渡しに行ってらっしゃいと促し棒をジャックに返した。

片手で持ち上げながらエルデに向かって一直線。

父親は汗だくで畑作業をしていた。

畑を広げるための開墾作業だ。魔法でやった方が早いんじゃ?と思ったけど理由としては母親が安位に畑に変化させると村中がウチもウチもと頼ってしまうのと今からここは人間が畑にしますよと地面に伝える大事な役割があるんだそうだ。そういった順序を守ってるから精霊の恩恵もあるんだろうなと思いながら空を見る。


飛行機雲が真っ直ぐ横切る。

あぁ飛行機か。


ん?飛行機か??

結構文明栄えてんじゃん。牛や馬やらを畑作業でよく見かけてたからてっきり中世初期っぽい世界なんだとばかり…。


んーー?

まぁ遠いからよく見えないや。


天気も良く風も少なく気持ちがいい。飛行機雲を仰ぐように見つめながら大きくあくびをする。

遠くでジャックの叫び声が聞こえるけどいつも通りの日常になったようだった。


ぇ?フラグ?


飛行機雲から少し離れたところで赤い点々が点滅して音が後から遅れて聞こえてくる。


トトトットットットット。

軽い破裂音が続く。音からするとかなり離れたところからの音だとわかる。

ジャックはスゲェスゲェと叫んでいる。

まったく…これだからジャックは。


「なんかめっちゃ逃げてる〜」


何が?と顔を顰めていると家で本を読んでいたはずのシュバルツ兄さんが近づいてくる。


「ジャックどうしたの?」


「あの白い先におっきな鳥がいてさ!」

「黒いあの点みたいなのが魔法ぶっ放してるんだけど」

「めっちゃ早いから当たらないんだ!」

「ほらね!」


トトトットットットット。


興奮気味に話すジャックはその光景を見ながら身振り手振りで伝えてくる。あれって飛行機じゃないの??

父親は畑開拓でクタクタだが母親に水をもらって一休み中だ。寄り添うこの夫婦ってば本当仲良いよな〜。


飛行機雲はどこまでも真っ直ぐ進んで先端はもう見えなくなった。黒い点っていうのがどうなったかわからないがいつの間にか消えていたとジャック談。

何事もなかったからいいけどこの村って平和だけど外が物騒だよね?猪はまた来るかもしれないし、外部からの支援も期待できないから村のどこかしら損壊したら復興に時間かかりそうだなぁ。


ぁぁ…今のなし!フラグは立てません。






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