第7話 畑の石取り
先日の大きなクレーターを作った隕石?が消えていたことに村人は驚いたが誰も犯人を探そうとはしなかった。
オルガが見せた通りとても熱い熱を帯びていた石を盗もうとは誰もができるわけじゃ無いし周りも荒らされて移動した痕跡もなかったので忽然と消えた謎の石程度の噂しかなかった。残ったのは大きなクレーターと耕し直すしかない畑だけだった。
冬の間は作物が育たない。
だからその間に土を起こして腐葉土や生ゴミを畑に撒いて栄養豊富な畑に今のうちから手が加えられる。
ただこの大きなクレーターは畑の一部分を削ってしまったため埋めてまた耕さなければならない。
もちろん、キレイな畑にするために石をどかして裸足でも痛くないようにする。
規模は小さいが子供たちにも畑に興味を持ってもらうために父親が息子兄弟にやってもらおうと考えた。
これが終われば飯だと昼食後に叫ぶ父親に作業時間は長いのだと遠回しに言っているようであった。
無論シュバルツは勘付き、ジャックは一緒に「おぉー」と両手をあげている。
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アルは1人お昼寝中、夢の中で畑を平らに均している前世の自分がいた。小さめの畑だが土の質は良く柔らかい水捌けはほどほどでthe・畑だ。
鍬を入れて掘り起こし石を畑の外へ集めているが何度やっても終わりが見えない作業に飽きてきた。
「どこまでやればいいんだ?」
愚痴ではなく疑問の声に応える。
「一応この畑全部かなぁ」
辺りを見渡し、目の前の木々を指差す。
大小不揃いな6本の木は広葉樹で落葉肥料目的で植えられた少し大きな木だ。今は葉が落ちて雪が枝に積もっている。ここからあの木々まで指でぐるりとなぞり声のする方に顔を向けた。
「あれ?」
…誰もいない。確かに聞かれたから応えたはずだったが、はて?
ついに疲れが出たのか自問自答していたようだ。
「さぁ、続きをやらないとな」
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鍬を持ち上げ作業に入る。視界がだんだん朧げになって目が覚めた。
夢か。
そういえば兄さん達は畑作業だったね。
辺りを見渡し夕暮れにはまだ早い前世でいう15時頃だろうか?兄弟がゾロゾロ家の中に入ってくる。
「疲れたぁーー」
「あんまやってないけどね」
「あら、もう終わったの??」
「いや終わったんだけど終わってたっていうか」
「?」
「ぉ アイザ。もう作業しなくても良さそうだ」
「ずいぶん早いのね??」
「なんかよく分からんが土が勝手に動いてさ」
「そうそう!もこもこって!」
「モグラかなんかだと思ったんだが畝のように続いてな」
「石が畑からポンポーンって面白かったよね」
「踏んでも痛くないから作業終了〜」
「他の畑も同じように春に植える準備バッチリだった」
「えぇ?勝手に??」
「そう!勝手に」
ほら見てみろよと母親を畑に呼んで(なぜかアルも一緒)身振り手振りで伝えている。
「な?」
父親が自分がやったことのように嬉々として言った。
確かにこれは…あれ?あの木。
家の外へ出て畑まで抱っこされたアルが見たのは抉れた畑が元通り?というか丁寧に耕されていて、いつでも苗を植えられるようになっていた。
ん?
畑の奥に6本の不揃いな木が並んでいた。
ぉゃ?
漫画で良くある大きなはてなマークが出るイメージ。
まさにそれだった。
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