第5話 婆さんの重い腰
昼ご飯を皆で食べて?飲み干して
父親とジャックはさっき話していた畑に、首根っこ掴んで持ち上げられていた。
シュバルツ兄さんは勉強をすると言って近くの商店へ向かった。そこでは珍しい本が置いてあるそうだ。
丁寧に扱えよ〜と父親に釘刺されてたが商店のおじさんは優しいらしく算数やこの国のこと教えてもらっているらしい。
婆さんは俺のところに来て頭を撫でている。
母親はご飯の片付けと藁を編んで紐状に伸ばしていた。なんだろう?内職みたいなもんかな?それぞれの作業に入る。もちろん俺はお昼寝だ。
婆さんにオデコに手を当てられ暖かい眠けに襲われて目を閉じる。
「この子も生き続けられるかどうか」
ぇー、変なこと言わないで!
まだまだ生きてやるん…_:(´ཀ`」 ∠):zzZZ
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「大丈夫ですよ、今まで通り何とかなります」
「そうだねぇまずは食べるもんでも探して見るよ」
「母さんはいいのよ、家にいて」
「はっは、よしとくれ。食べて寝るだけじゃ本当に老人じゃないか」
「まだまだ孫が大きくなるまで頑張るさっと」
重い腰をあげて森に出かける。
手提げのカゴは諦めにも似て小さめだ。
村から東にある森には果実が溢れている…ただし今は冬で実りの秋に取り尽くしたはずだったのになぜ??
疑問は出るが空腹が勝り手持ちのカゴにりんごを入れ始める。
「なんでかは知らんが助かります」
果樹にお礼を言ってこの場を後にする。
村のみんなに知らせるためだ。
重い腰が嘘だったように揚々と一度戻る。
そのまま村長の家に向かい何人か人をお願いした。
多分荷車も必要になる。
「こんにちは村長、人を貸してくれるかい?」
「あれ?エルデさん、どうしたんですか?」
「東の森にまた実がなっておるようで」
「ぇ?でもこの間皆で取り尽くしたからまた夏を過ぎないと…」
「ほれ、これが沢山あったもんで」
婆さんが笑顔でカゴを見せる。
「?!」
行ってみるもんじゃいとテーブルの上にカゴを置いて村長たちに同意を得る。
「今からでも動けるもんは東の森へ」
躍起になって皆が動き出す
元々広場で交換していた人々に声をかけて荷車を押して森へ向かう。
「飢えなくてすみそうだ」
大人15人で収穫隊組んでかき集めた食料は各家庭に配る果実はもちろんりんごだ。
どうやら森の奥にまだまだりんごが実っているのが見て取れる。
明日もまた来よう。
「うっまーい」
春の訪れを前に夕飯はスープと一緒にりんごが並んだ。
ジャックは大好きなりんごを頬張るともう一つ手に取りズボンのポケットに入れた。
シュバルツ兄さんは父親にナイフの使い方を教わりながらりんごの皮を剥いて切り分けていた。
やっぱ性格が出るよなぁと思っているとこちらも食事の時間のようだ。(授乳ね
今は冬、なのにりんごがなっていたのは不思議だがこれを境に村から他の村にも運ばれて飢えを逃れたのであった。
万年果実となる不思議りんごは村の特産品として重宝されることになる。
他の果樹はそのままだがりんごだけ実って甘味もある。
飽きるまで食べてみたがまた食べたくなる甘味だった。
「飢餓がないことはありがたい」
「村民もまた明るくなったよ」
「これからの冬は怖くないね」
明日を生きる村人が少し余裕を持てた気がした一日だったそうだ。
行商人のトムイさんが春になったらやってくる。
そこでの交換にこの不思議りんごはどう映るだろうか?
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