第3話 気づいた主人公

目が覚めて身体が動かないし寒い以外は特に何もないんだけど俺ってどうなった?


記憶が曖昧だな、屋台で島津君と話をしてて…地震があって逃げようとして?逃げたんだっけ?あの後どっかに居たような?

おじさんが?おじさんに。違うな?なんだろ。


なんかあったんだけどなぁ。

あまり深く考えず首がコテンと左に向いた。


目だけ動かして辺りを見渡す。

手前にテーブルがあってその上にロウソクに火がついてぼんやり明るいが部屋っぽい空間ってだけであとは分からないがどこかの避難所とかかな?布団もないみたいだし少し冷えるな。布団もズボンもパンツも無くない??(意識が体に向いた時、人は羞恥を知る)

 

…ぇ ハダカ??

寒い寒い無理無理っ!!


「おんぎゃぁぁ」


自分でも甲高い声だと分かるくらいの叫びシャウト

辺りから歩いて寄ってくる気配?がしてみてみると若い女の人だ

20代前半?ショートで揃えられた薄茶色の髪の毛が灯りに照らされて綺麗に見えた。ってタッパデカいな!


「あらあら♪お目覚めね」


笑顔で両手を伸ばす


「大丈夫、一緒に来てくれる?」


何か下半身を拭かれて包まれる。

おぉあったかい。じゃなくって!

抱き抱えられて周りが見えるがどれも大きく感じた。

無抵抗なのも変だが何故か何も嫌な感じはしなかった。


あれ?あれれ?


もしかして?


少し土の匂いがした扉の向こうには何人もこちらを見ている。

何?誰?なんだぁ??

感情が一気に溢れ出る。自分では止められないのが不思議だった。


「おぎゃぁぁぁ!」


叫びシャウトを気にせず

おぉ、と周りが笑い出す


「こりゃまた誰かさんの時みたいだねぇ」


婆さんがニコニコで俺を見つめながら言う。

 

「ボク?ねぇボクの時も??」


「ジャックはもっとすごかったよ、ボクは覚えてる」


「もっとかぁ」


木の棒をブンブン回して喜んでいる?ようだ。

子供は久しぶりに見たけどやっぱ俺も家庭を持てばよかったなぁ。

 

「ぇ?じゃあボクですか?」


「お前も静かなもんだったよ」


「じゃあ…あなたに似たのね」

 

「ふふっ、さぁさそこに座ってよく見せてとくれ」


「母さんはせっかちね」


「それにしても3人とも男の子とはすごいな」


「神様に次は女の子が良いと祈っていたのよ、ねぇあなた」


「うーん、そうだが女の子は村にいっぱいいるからな」


「男の子の方が村には良いよ、大したもんだ」


俺の両頬を婆さんが両手でホールドする。

うーん、嫌な感じは無いけどあんまりうほぉはすな動かすな!!


グニグニと弄ばれてしまったが婆さんはずっとニコニコだ。

何も言わず?言えず婆さんを見つめている。

そして笑顔がピタッとなくなり


「あんたはどこから来たんだい?」


周りが静かになる。婆さんは真っ直ぐ俺を見ているが

こここそどこだよ!と思って見つめ返した。


しばらくの静寂の後、


「また違うみたいだねぇ」


「村の赤ん坊全員に聞いて回ってるんだがそれってあの時の神託だろ?」


しんたく?なんだそりゃ??


「確かに言われたんだけどねぇ、こりゃ私の代じゃ無いのかもしれないね」


先程の真顔はどこへやら、ニコニコ顔に戻って頭を撫でられる。


「もう母さんったらそれで何度目よー」


「コイツらにも聞いてたからな、むしろ俺にもその質問をしたらしいが反応は一緒。ただ見てるだけだ」


後頭部を掻きながら苦笑する中年の男性


-彼の地より産まれ終ぞ、ここに誕生せり-

-そして神と共に降り立つだろう-


「あれは御神託だよ、

まだ幼かった私は聴こえた言葉を床に書いたんだ」


「教会もないこんな村に何かあるんだろうね、アタシはそう思ってる」


俺のオデコを摩りながら物語口調で話し続ける婆さん。

だが待て、うーん、そうか?

身体が違うし喋れない、前の自分が若返ったようでもないし周りにこんな知らない人だらけだとあれだな、今話題の?転生か。


もしやさっきの若い女性は母親?!

なるほどなるほど、じゃあここは家で周りは家族とかかな?それでは血縁者は手をあげてください〜


転生という言葉はよく昔から使われてるけど実体験するのは面白いな。


きっと、あれでしょ?

生まれながらにして〜とか前世の知識とか役に立っちゃう系で女子がほっとかない系の…。


(オゥフッ

不敵に笑うがまだ表情筋が発達していないため気味悪がれない。


———オホンッ!

おっさんサラリーマンはモテませんでしたからね。

 

途中から恋愛やら見合いやら自分から動いたけどお金がかかるんですよ:(;゙゚'ω゚'):

登録は無料だけど〜イベント金もバカにならないからそっと諦めたよね。

仕事も出世してるわけじゃないし、将来有望で入ったわけでもないからお給金も上がらず生活をやり繰りしてただ生きていた人だからこの機会は逃すつもりはまず無いな。


魔法とかあるのかな?

年甲斐もなくワクワクしてしまったが今はまだ生まれたての赤ん坊だしいいか♪


しっかし寒いなぁ今って冬?

見た感じ同じ人間…だよな?食べ物は主食パン派かな?お米とかはどうなんだろう?

服もなんか重ね着してるけど普通の格好にしちゃぁコスプレみたいだ。

普段着なのかなぁ??


目まぐるしく観察していると突然の眠気。

これってまさか知恵熱k…zzZZ。

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