第21話 『TS娘』と息抜きとディンブラティー

息抜き(いきぬき)

1.緊張をゆるめ、また、多忙をのがれてしばらく休むこと。息やすめ。

2.空気ぬきの窓・あな。

ここで語るのは1.のケース


***


 2年の年月が流れ、俺……いや、わたしの肉体年齢はおそらく16〜17歳。立派な女子高校生の1、2年生といったところかな?


 立派な女子高校生……JK――遅い初潮を迎えた去年、奥様に「英子ちゃんも、もう立派な女の子なんだからちゃんとしなさいよ〜」と言われ、初潮もショックだったんだけど、自意識というか性自認も女性化しつつあることに気づいたんだよね。

 特に口調とか、考え事をするときの人称が「俺」だったのがいつしか「わたし」に変わったことかな。


 あと嗜好も変わったみたい。男の頃はブラックコーヒー派だったんだけど、この身体になってからは味覚も変わって苦くて飲めない。仕方なく紅茶にしたんだけど、これはこれで香りも良いし最近ではすっかり紅茶派になってる。

 ま、見た目JKだし似合ってるんじゃないかな。

 仕事の方はある民事事件がそろそろ和解の段階になってきたんで、わたしの出番は終わりで、ちょっと一段落。それに元々法廷へは田中が出廷してくれてたしね。


 で、ちょっと外出したいな〜と思ってるんだけど、平日は人目があるんで一人では出歩かず、大先生か奥様と一緒に外出するようにしてるけど――たまには一人になりたいよね。仕事に疲れたり詰まったときは特にそう。

 12歳くらいまでは息抜きしたいときは疲れた〜って『お昼寝』できたけど、今ではそうもいかないし。


 で、今日は土曜日。仕事もお休み。近所のカフェでお茶することにした。

 弁護士で個人事業主の『侍業』でも大先生のところにいるし、身体は女の子だからその辺りは優遇してもらって週40時間勤務。


 スカートはまだ履き慣れないから、今日はちょっと長めのデニムショートパンツにスウェットで出かける。

 ここはテラス席もあるけど、出入り口付近でも十分開放感があり気に入っているお店。よく奥様と買い物帰りに利用していることもあり、安心して入れる。

 今日はちょっと暑いからアイスティー。ミルクを入れても美味しいけど、ストレートで。

 紅茶はアイスティーにすると香りがなくなってしまうんだって、知ってた?

 アイスティーに向いているのは、セイロン産の茶葉で中でもディンブラティーが特にオススメなんだって。適度な渋みがありながらも、爽快感があって飲みやすく、万人受けするアイスティー……ってうんちく垂れてるけど、これはネットの受け売り。

 ディンブラティーは、アレンジがしやすく、アイスジンジャーティー、アイスミントティー、アイスシナモンティーと書いてあるから今度試してみようかな?……ってその前にメニューにあったかな?


 日頃忙しくて忘れがちだけど、裁判所に提出した「わたし」と「高岡英一郎」が同一人物であるとの認否の申し立ての終局的判断、いつ降りるんだろう――それに同一人物だと認められたら、わたし大先生宅を出なきゃいけないのかな……?

 ん〜さすがにそんなことないとは思うけど……考えすぎかな〜


***


『TS娘』が成長しちゃうと息抜きでも色々考えちゃう……って話


以上 『TS娘』と息抜きとディンブラティー

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