第20話 『TS娘』とパーソナルスペース
パーソナルスペース( Personal space):他人が自分に近づいても不快に感じない限界の範囲。これより内側に侵入してくると、人は不快に感じたり落ち着かない気持ちになる。
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人はパーソナルスペースを侵害されると、物理的に距離を取ってパーソナルスペースを守ろうとする。そのパーソナルスペースに入ってこられると落ちつきかなくなり、相手との境界線を作ったり背を向けたりと、拒否反応が起こる。
パーソナルスペースには4つの距離感覚があり、それらは人間関係、性別や年齢によって異なる。
1番目は「密接距離」これは0cm(つまり完全密着だ)から45cmまでの距離感。会話はもちろんスキンシップもできる距離で、家族や恋人など極めて親しい関係性の人に許される範囲。また子どもなどを保護できる範囲でもある。
2番目は「個人距離」45cmから1.2mまでの距離感で、お互いの表情が読み取れるかつ、手を伸ばせば触れられる距離。友人や親しい同僚の間で取られる関係性といえるだろう。
次は「社会距離」1.2mから3.5mまでの距離感で、同僚や上司、仕事先の人と接する際に取られる距離といわれていて、会議や打ち合わせなどのビジネスシーンを見ればわかるだろう。
最後は「公衆距離」3.5m以上の距離感。講演会や演説などの公的な場面でよく見られる距離感で、まったく知らない相手に公衆距離を取れば、不安を感じにくくなる。相手の顔や表情がよく見えないため、個人的なやりとりはできないまったく赤の他人の距離だ。
そしてパーソナルスペースには性別による違いもあり、男性は前から向かってくる人を警戒する傾向にあり、前方向に広く後ろ側は狭くなっている。一方、女性は円形となっているといわれているが、相手との信頼度に合わせてパーソナルスペースが変わるため、関係性に合わせるといった感じだろう。ほら、よく女子高生がべたべたくっついているのがそれだ。
また、年齢による違いもある。一般的に年齢が低ければ低いほど、パーソナルスペースは狭くなるといわれている。赤ちゃんや子どもは、興味や関心がある事に対しての警戒心が薄い習性を持つためだといわれている。
自我の芽生えとともにパーソナルスペースを意識しだし、それは年齢とともに大きくなっていくらしい。
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で、俺はある日突然、少女の姿になってしまった『英子』こと『高岡英一郎』。
少女姿の俺が『高岡英一郎』と同一人物であるとの認否の申し立てをしてからかれこれ4年ほど経つが、その判断は未だ裁判所から降りていない。不安ながらも仕事は順調にこなせてはいるが……。
肉体年齢はすでに14〜15歳なのだが、女子化した時の栄養状態が悪かったせいかわからないが、身長は伸びたがまだ初潮を迎えておらず、幼女っぽさを残している。
大先生(大磯弁護士)の奥様にはお子様がいらっしゃらないので、保護された頃からなにかと英子ちゃん、英子ちゃんと俺をかわいがってくれるのは良いのだが、べたべたくっついてくる。
信頼している奥様なのでそれはそれで嬉しいのだが……つまり身体的性別は「女性」だが、やはり精神的性別は「男性」かつ「成人」なわけで……だが相手は大先生の奥様なわけだから、あまりベタベタされるのも嬉し恥ずかしといったところだ……かといって拒否するわけにもいかず、それが最近の悩みの種だ。
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『TS娘』とのパーソナルスペースの取り方は結構難しい……って話
以上 『TS娘』とパーソナルスペース
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