第14話 『TS娘』とアルビノ

アルビノ:目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質のこと


***


 まだラムと結婚する前、いやそれ以前かな?そうだ、チーフになって割と信頼関係もできて一緒に仕事をし始めたころだったかなぁ。


 その日は指名が入ってるんで『女子』る準備をしてると・・・「前から聞こうとしてたんですけど〜店長って『女子』るとなんでそんなにわたしよりちっちゃく若返っちゃって、見た目16〜17歳、金髪で、目が赤くってめっちゃ可愛くなっちゃうんですか?!普段は無愛想なのに!」とラムが言い始める。

「おいおい、無愛想は関係ないだろうが〜 まぁそれが『TS娘』だしその『ギャップ』が『ネイルサロンTS』の売りでもあるかもな〜」

「いわゆる『ギャップ萌え』ですか〜? でも店長ってば、サービスに入る時は必ず『女子』るからお客様ってそれ、知らないんじゃ・・・」

「ま、まぁそうだな。あははは」


「目が赤くて色白・・・これって『アルビノ』ってことですかね? 病弱でいつか死んじゃうとか・・・」わたしの右手にジェルネイルを塗りながらラムが遠慮なく言ってくる。

「おいおいおい、そう簡単に人を殺すな〜 それに『アルビノ』なんてよく知ってるな!」

「まぁ聞き齧りなんですけどね〜」

「確かに聞き齧りだな〜 わたしの場合はアルビノっていうより『色の白いは七難隠す』方かもな〜」

「あはは、なんですかそれ〜」

「アルビノってのは、生まれたときから肌が白っぽくて、髪の毛は白、茶褐色や銀色、眼の色は青から灰色。ま、動物では赤が多いけど人間では少ないんだ。そして遺伝病なんだよ。メラニン色素の合成が減少、あるいは欠損するために起こる。メラニン色素合成が少ないことによる症状だけの非症候型と、出血が止まりにくいとか子供のころから肺炎にかかりやすいとかの合併症がある症候型ってのがあるんだよ」

「く、詳しいですね・・・」

「そりゃそうさ。高校2年で『女子』った時、最初のうちはそれこそ『きれい!かわいい!』って言われたけど、やっぱり目が赤くて金髪だろ? 周りとは違うし目立つから気になって調べたんだよ。幸いというか『トリガー』がジェルネイルを塗ることだったから高校卒業して大学で社長に捕まるまでは『女子』ることは無かったんだけどね」

「あははは〜『社長に口説かれた』事件ですね!」


「だ・れ・が・誰・を・口・説・い・た・ですって???」

「うわ!ムツミさん!いきなり来ないでくださいよ〜!」

「しゃ、社長! お、おはようございま〜す!」とラムは逃げていく。

「お〜い・・・」

「ま〜ったくシノブちゃんな〜にサボってんだか!」

「いやいや、『色の白いは七難隠す』って話をしててですね〜」

「いいから、早く仕事しなさ〜い!」


***


『色の白いは七難隠す』❌『色の白いは七難隠さない』⭕️・・・って話


以上 『TS娘』とアルビノ

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