【KAC20236】 ラッキー7 Case: J

下東 良雄

ラッキー7 Case: J

 あーしはジュリア、高校一年生。

 金髪の白ギャル気取っているけど……

 まぁ、正直見た目だけのエセギャルだね。


 七月、あーしは今、ショッピングセンターのジェラート屋に並んでる。

 目的は一日七個限定の『セブンレインボー』

 見た目も味も最高な7種類のフルーツが楽しめる虹色のジェラート♪


 お店にはすでに六人並んでいて、私がちょうど七人目!

 楽しみだなぁ〜♪ まだかな、まだかな。


「ターカシ♪ お待たせ!」


 突然やって来て、あーしの前に並んでいる男性と腕を組む派手目の女。


「六人目だから買えるぜ」

「やったー♪」


 えー、あーし並んでるのに……


「すみません……」


 あーしを睨みつける女。


「なに……?」

「並んでるんですけど……」

「はぁ?」


 顔を寄せて凄んできた。

 うっわー、ヤンキー系ギャルだ……


「あ……いえ……」


 怖くなったあーしは、トボトボと列から外れる。

 列から離れ、チラリと列の方を見た。

 あの女と男がこっちを見て、馬鹿にするように嘲笑っている。

 あーしは何も言えず、逃げるようにその場を離れた。



 時間は午後七時。

 あてもなく歩いていると、小さな公園があった。

 公園に入り、何となくベンチに座る。

 そのままうなだれて、ふぅ、と大きなため息一つ。


「ジュリア?」


 顔を上げると、目の前に駿がいた。

 あーしの好きな男の子。

 まぁ、向こうは相手もいるし、手の届かない高嶺の男子。


「何かあったのか?」

「あー……ジェラート買えなかっただけ」


 苦笑いするあーしに、何か察したのかな。


「じゃあ、ウチの店来いよ。スッゴイの作ってやるから!」


 あーしの目が輝く。


「マジ? 行く行く!」


 ギュッ


 どさくさに紛れて、駿と腕組んじゃった! ウシシ♪


 そして、あーしは『七種のフルーツ激盛りプリンアラモード』をいただきました!

 なんとプリンは駿の手作り! 美味しい〜♪


 嫌な目にあった不運な七月。

 彼の手作りデザートを沢山堪能できた幸運な七月。

 私の心に甘い記憶を残した甘露な夏。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20236】 ラッキー7 Case: J 下東 良雄 @Helianthus

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説