次は7が付かないナンバーを【KAC2023/アンラッキー7】
湖ノ上茶屋(コノウエサヤ)
第1話
「希望ナンバーありますか?」
新車購入の契約途中、問われ私は「じゃあ777で」と軽く答えてしまった。
なんだ? 777って。
「ラッキーこいこい感半端なくて引くわー」と、最近知り合いが言ってた。
それに対し「だよねー」と返したのは紛れもなく私である。
しかし、トリプルセブンは人気ナンバーゆえに抽選制らしい。
説明を聞きながら、『私のくじ運じゃ当たらないからこのままでいいや』と思ったあの時の私、殴ってやるから顔貸せよ。
人生最大のくじ運の爆発によって手に入れてしまった――777。
新車を前に苦笑い。
苦笑いする客をチラ見するなり、店員までもが苦笑い。
店で諸々説明を受け、ピカピカのシートに腰をおろす。バックミラーに0円スマイル。
ラッキーこいこいトリプルセブン号のファーストドライブが始まった。
乗り込んでしまえば、走り出してしまえば、ナンバーなんて気にならない。
慣れない車幅、慣れない道、滑るハンドル。
「緑の777の車の運転手さん――」
あ、私だ。
早々警察に呼び止められた。悪いことなどしていないが、ビクビク運転すぎたらしい。さっと手荷物検査の刑だ。
「安全運転でお願いしますね」
「はーい。ごくろうさまですー」
お巡りさんからも0円スマイルをありがたく頂戴し、再びアクセルを踏む。
赤信号に毎回捕まる。
笑えてきた。
トリプルセブン号に乗っているとは思えないアンラッキーっぷり。
ケラケラ笑ってしまったが真顔に戻す。
ケラケラ笑っているところをお巡りさんに見られたら、また捕まりそうだから。
ブイーン、と再び走り出した。
流石にもうアンラッキーはないだろう。
ほら、海が割れるように青信号!
行け! トリプルセブン号!
「ちょ! ハァ⁉︎」
人生でナンバーワンのスローモーション。
信号無視した車にやられた。
新車は納車直後に廃車が決まった。
「大きなお怪我がなくて良かったです」
店員、再び苦笑。
次は7なしで!
次は7が付かないナンバーを【KAC2023/アンラッキー7】 湖ノ上茶屋(コノウエサヤ) @konoue_saya
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