ラッキーワン

青時雨

ラッキーワン

「おう…アンラッキーセブン」



好きな数字と聞かれれば7を選ぶし、私は7という数字が何だか幸運を呼びそうで好きだ。

だから自分で作り出したジンクスにも7が関係していることが多い。

例えばコミックの新刊は平置きなら上から7冊目を買うと決めているし、何かで数字を選ぶ時には必ず7を選ぶ。

7はラッキーな数字、そう思って生きてきた。

なのに…

今日はとことん7がついてない。

朝7時にメールを送るとすぐに返信してくれる彼なのに、今日はなし。

嫌われたか!?何かしたのか私!?どうしよどうしよ。

気晴らしに音楽を聞けば、7曲目に流れてきたのがごりごりのラブソング。そんな気分じゃないんだこっちは。

これはもしや7に運を求めすぎたが故に7に残ってる幸運ゲージが減っているのかもしれない。

今日から7にはお休みさせて、別の数字にラッキーを見出そう。



「おはよ…ってもう夕方なんだけどね」



下校途中、まさかの彼に声をかけられた。

自然に隣に並ぶ彼の顔を恥ずかしくて見られない。

いつもなら7秒の無敵タイムを使って7秒だけ頑張って目を見て話すけど、7に運がない今日はやめておいた方がいいだろう。



「朝1番に言おうと思ったんだけど、やっぱり会って伝えたかったから。そしたらめっちゃ緊張してきて、今朝返信返せなかったんだ。ごめんね」



ん?、朝1番…。



「世界で1番好き…だなんて、ベタかな」



んん?、1番。



私からの返答を待っていた彼に慌てて思いを伝える。

ぎこちなく手を繋ぎ、1つの有線のイヤホンを片方だけつける。



「この失恋ソング、俺もよく聴くよ。もし振られたらって思いながら聴いてたけど、今じゃもうこの歌詞他人事にしか聞こえないや」



「あのさ」



既に答えは決まっていたが、これで彼が予想通りの数字を言ったら、お休み中の7に代わるラッキーナンバーが決まる。



「1番好きな数字は?」


「1かな」



今気づいたけど、今日1日じゃん。

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ラッキーワン 青時雨 @greentea1

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