第18話 急襲

「ちょっと待ってください」


 徒然とぜんは通信機の向こうに呼びかけた。荷物が出された部屋の隅の湿ったカビとホコリが、じめじめとして何か周りの空気まで毒を帯びている風な雰囲気を醸している。

 徒然は少し気になったことがあった。


「どうして僕の通信機に?」

『順を追って説明します。私がスタッフとして乗っていたバスが影狼かげろう衆という盗賊団に襲われて、破壊されました』

「バスが?」

『はい、それでバスに乗っていた乗客の1人が直前にお話していたところへかけさせてもらおうと、とにかく救援をお願いします。救助派遣は……』

「残念ですが、ここから連絡できる範囲ではいません……」

『そうですか、それは』


 シリルがそこまでつぶやいた途端、突如として電波が乱れ、『ザー』と砂嵐が流れた。


「もしもし? もしもしっ?」


 それきり通信機音も立たず、しばらく呼びかけた後、謎の声が聞こえた。


『ア、アー、聞こえますかーどーぞー』

「……」

『聞こえてないのか、まあいい。俺の名前はマグネシウム。荒野の森で燃え盛るバスの7人の小人たちとお姫様はいただいていくぜ、じゃあな。連れ戻したければ荒野の闇の城に来な!』


 突如として現れたマグネシウムという謎の人物の声がして、去っていった。


「次から次へと……」

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