第15話 通話

 徒然とぜんが部屋の中の家具やら荷物やらを一通り出し終えた時、無線機の着信音が鳴った。


「もしもし?」

『あもしもしももしもし?』

「はいはい」

『聞いて! 今日マジで大変だったの! でっかい狼型のロボットに追いかけ回されたんだけど! バスのスタッフの人が銃でバーンってね!』

「殺虫スピーカー直ってないの?」

『直ってないよ。でもさっきまで銃乱射してたからしばらく大丈夫。声が大きいのはテンション上がってるから』

「はい」

『ちょっとね、予定変更でバスが狼の生物兵器、ロボって言ったかな。から逃げてく途中でコースを外れちゃってね、少し遅くなりそう』

「そうなんだ、気をつけて来てね。スタッフの仕事は大丈夫?」

『そうそう! 聞いて! 正規の人がすごく優しくてかっこいいの!』

「へーそうなんだー。え」


 しばらく話した後に勢いよく通信が切られた。


「すみません。友達が」

「ええ、ごめんなさい。プライベートなお話だったとは思いますが」

「今のは大丈夫でしたよ。声がでかくてね」


 夕暮れが近づく。日が少し傾いて来た時である。


「では、明日はお部屋を掃除しましょうか」

「てかさ、何でずっとこの二人でずっと掃除してるの?」


 ダレルがドアノブに手をかけた瞬間、再び通信機が鳴った。


「ああ、どうぞ」


 ダレルが手を振ってドアを閉め、徒然は通信を始めた。


「はい」

『もしもし! こちら化物けもの陸道下りの67番付近! だれか! バスが破壊されました』


 慌てた様子の大声の後ろで、巨大な火炎の音が立っていた。

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