第10話 掃除

「ところで」


 あたり一面が血の海である。玄関のドアといくつかの家具は完全に使い物にならない。


「これからお客を迎えることになってるんだけど」

「失礼、よかったらお片付けを手伝わせてください」

「お仕事は?」

「今日はこれで終わりです」

「遅くなると思いますよ」

「明日は非番です」

「悪いですよ」

「俺が散らかしてしまったところもあります」

「ふん……なら明日にしてもらおうかな。今日は寝てください。生憎人様を泊める余裕が」

「大丈夫ですよ。この墓地の管理人とは顔見知りで、俺なら安く泊めてもらえる」

「助かります」


 日が落ちてから徒然とぜん秋風ちえに連絡をした。


『お、きたきた、連絡待ってた。そっちはフリードマンが出るって』

「なかなかドライな反応だね。めっちゃワルだよフリードマンって」

『よかった、無事だったんだね』

「来たよ、フリードマン」

『来たの? え、来たの?』

「バークレーも来たよ」

『よく無事だったね』

「ところで、こちらにはどうやって来るの?」

『夜行バスで行くよ』

「高くない?」

『大丈夫、撃ったことがある銃を備え付けてあるから、肥大生物を撃ち返すバイトもして運賃安くしてもらうから。あと、ホムンクルスの画像ある?』

「画像を送るだけの設備がないからね」

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