第8話 誰なんだよじゃあ

 ちなみにさっきの話は切り裂きフリードマンとは一切関係ないので忘れてくれていい。


「じゃあなんだったんだよ」


 金切り声を上げるチェーンソーが徒然とぜんに迫る。徒然はそれでもなお椅子から腰を上げる気配もない。


「チェーンソーがくるよ!」


 チェーンソーが音を立てて椅子が切り裂かれた。しかし、そこに徒然の死体は無い。


「……どこだ」


 フリードマンがあたりを見渡す。


「ここだよ」


 徒然はフリードマンの目の前に再び現れた。


「君が切ったのは僕のホログラムで、僕自身じゃない。それと、お気に入りの椅子だから後で弁償してくれよな」


 特に愛着もなさそうに言った。


「ホウ、ソウカイ」というとフリードマンは突然部屋のあちこちを切りつけ始めた。


「ホンモノハ、ドコダ」

「……まずいな」


 フリードマンがクローゼットを切りつけた時、隠し扉が現れた。


「おい! その扉は……!」

「ミツケタァ……!」


 明らかにうろたえだした徒然を見てフリードマンが不気味に笑った。その瞬間である。切り裂かれたドアの方から誰かが叫んだ。


「おい、チェーンソーを持ってくるぞ」

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