第6話 切り裂き

 ヴォオン! というスターターの音が威勢よくなった。

「荷物は、とてもよく切れるチェーンソーですよお客さん」


 ドアがチェーンソーで切り裂かれる。しかし徒然とぜんは意にも介さず落ち着いて椅子に座っている。


「切り裂き甲斐がありそうな手足じゃないか、大人しくしていてくださいよ。運が良ければ死にゃしません」


「あわわわわわわわ……」

「切り裂きフリードマンか」


 八十草やそくさの墓地の隣には三泉町みずみちょうというこれまた墓地街がある。八十草と違うのは、ちゃんと町として住民が住んでるというところかな。

 フリードマンがどこから来たのかはわからない。女子供ばかりを狙って何人もご自慢のチェーンソーで切り裂いてきた、その数は優に100人を超える。


「警察もあまり役に立たない世の中だしなあ」

「ウヒヒヒヒヒ、オジョウサン、コッチヘイラッシャイナ、オシゴトヲ、アゲルヨ、サアオテテヲオダシ」

「駄目だこいつは、チェーンソーになりたくてお手製の燃料を自分で飲んでおかしくなったって噂だから」

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