今日から7は忌み数です。
佐倉ソラヲ
第七帝国
『速報です。内閣より緊急事態宣言が出され、本日より数字の7を忌み数にするという発表がありました。繰り返します、本日、内閣より――――』
食堂に設置されたテレビから、速報を読み上げるアナウンサーの声が聞こえた。
休憩時間に昼食を摂っていた社員たちは、思わずテレビを見上げる。
ある者は「当然か……」と言った面持ちで、ある者は「わざわざそんなことしなくても……」と懐疑的に、またある者は「政治家はまたそんな勝手なことを」と義憤を示していた。
なぜ7が忌み数なのか。それは今の社会情勢に大きく関係していた。
現在、この世界はテロの脅威に脅かされていた。
『第七帝国』を名乗り、『帝王』を掲げた過激派テロ組織が、世界各地で人々を脅かしているのだ。
大国のビルで爆破テロを起こして多大な犠牲者を出したり、ある国の要人が誘拐したり。
私の住んでいる日本でも、先日大規模な火災が起こった。
その犯人は、例の『第七帝国』だという話だ。
大々的に『7』という数字を掲げた彼らは、世界から憎しみの目を向けられた。
そこで各国は、『7』という数字を使わないという声明を出し、『第七帝国』に抵抗の意志を見せ始めた。
『この世界に、お前たちの居場所はない』
そう高らかに宣言するかのように、各国は『7』という数字を否定した。
そしてこの日本でも例外なく、『7』を忌み数にするという宣言が成された。
――そう。これから先、店の値札からは『7』という数字は消える。
忌み数になったことで、マンションやアパートの部屋番号からも『7』という数字は、消えることだろう。
212号室に住んでいる私は、番号が一つずれて213号室になるのかもしれない(そう言えば13も忌み数ではなかったか? だとしたら214号室かもしれない)。面倒な手続きなんかが待ってることだろう。
7月7日生まれの私は、ため息を吐きながら七味唐辛子を手に取った。
今日から7は忌み数です。 佐倉ソラヲ @sakura_kombu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます