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いかにも自信ありげに振舞う他の候補者と比べると、湊さんはいかにもぎこちない。しかし、そのぎこちなさを初々しさと捉える向きもあるようで、観衆の中からは「まこちゃーん」という声も聞こえてくる。舞台袖で待機しながら、わたしは「湊さん、がんばって」とひそかにエールを送った。
隣りにはスタッフのジャンパーを身につけた玲人君が待機している。部室に残っていたものを拝借したのだ。反対側の舞台袖にはそれぞれ美都とたけやんもスタンバイ中だ。
候補者が一人一人、ステージの上をくるりと回って舞台袖に戻ってくる。最後の一人がステージから姿を消したところで、司会者が声を張り上げた。
「それでは、今日のイベントの最終審査項目へ参ります!」
秋晴れの空にマイクを通した声が朗々と響きわたる。
「ここから候補者の方々にそれぞれ三分間、このイベントにかける心意気を語って頂きます。みなさん、どうかそれぞれの候補者の想いをくみ取ってあげてください」
それでは!と腕を振り上げる。
「皆さん、どうぞステージ上へ!」
さあ、ここからが本番だ。玲人君と目線を交わし、わたしはこぶしを握り締めた。
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