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「まあとりあえず、ちゃんとスピーチの時間取ってもらえてよかったよね」


 当日の進行表をチェックしながらわたしは言った。ファイナリストの紹介から始まり、特技の披露、ファッションショー、そして最後にそれぞれが簡単なスピーチをしてこのイベントに対する意気込みを語ることになる。


 もともと時間が限られている中で、各々の意気込みについては事前に配布するパンフレットに掲載する方向だった。しかし、「外見だけじゃなくて内面も審査対象になるべきだと思うので、スピーチについては長めに時間を取るべきだと思います」という美都とわたしの主張が受け入れられた形だ。ここで湊さんが暴露スピーチをぶちあげる手はずになっている。


 ステージ上には司会の男子学生がいるが、たけやんと玲人君が上手い具合に舞台袖に引きずり込んで拘束してしまえば少しは時間は稼げるというのがわたしたちの目論見だった。財力も人脈もない以上、ある程度雑な計画なのは仕方がない。


 計画を練るわたしたちを剣崎は隣でニヤニヤと眺めていた。


「お前、役に立てとは言わんから邪魔だけはすんなよ」


 玲人君が胡乱気な眼差しを向けた。


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