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そうこうしているうちに時間は飛ぶように過ぎた。ミスコンの準備は着々と進み、当日出場するファイナリスト五人も確定した。湊さんの他のメンバーもキャンパスの中ではそこそこ目立つであろう綺麗どころばかりだ。しかし、ファイナリスト選出の段階で柏木さん達が手を回しているのか、華やかさという面ではどう見ても湊さんが突出してしていた。
「どう考えても湊さんがグランプリやわなあ」
しみじみとパンフレットを眺めながら、美都が言った。
「それにしても、美人を餌にして信者を集めようなんて、芸能人を広告塔にして票を集めようとする政治団体みたいやねえ。安易というかなんというか」
「でも世間知らずの大学生は意外とそういうのに引っ掛かっちゃうよね。特にうちの大学一人暮らし男子が多いしさ、あんな美人に微笑みかけられて一緒に頑張りましょう、なんて言われたらころっといっちゃうかもしれない」
「湊さん、ちゃんとステージの上で説明できるかな。このミスコンが操作されてることとか、宗教団体が絡んでることとか。よく考えてみたらそれって大勢の前で自分が宗教団体の関係者ですって暴露することになるよね。もちろん、生まれる家は選べない訳だからそれで湊さんが責められるべきではないと思うけど、でもきっとよく思わない人はいるよね」
結局、いくら頭をひねってもミスコンを失敗させるというのは至難の業だった。ファイナリスト全員の食事に下剤を仕込むとか、当日爆竹を放り込んで大騒動にするとか漫画みたいな案も色々と検討したけれど、それでは事情を知らない人達から見たらなぜイベントが中止にならなくてはならなかったのかが分からないままだ。湊さんとしては自分が利用されていると見せかけつつ、逆にミスコンを利用して宗教団体の闇を公衆の面前で暴くというのが目的なのだ。
義憤にかられた、というのだろうか。ひねた見方をすれば「悲劇のヒロインとして目立ちたいだけやろ」という考え方もできそうなところだけど。ただわたしたちとしても大学の中で怪しげな宗教法人がのさばるのは本意ではないし、他のファイナリストたちの努力を踏みにじって金儲けすることも許せない。できるだけのことはやろう、という話にはなっていた。
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