3-8

「ちょっと変わった先生ではあるのよね」


 しばらく遊んで花ちゃんが帰った後、美都はぽつりと言った。

 腕は確かなので歯医者としては信頼できるらしい。でも患者の大学生にぽんと娘を預けるその気持ちがよく分からない。


「花ちゃん、学校でお友達がでけへんのやって」

「先生が言ってたの?花ちゃんが自分でそう言ったの?」

「先生が。でもそれも心配してる風じゃなくて、この子友達いないからさーって本人の前で言うねん」

「それはなんか…どうなんだろう。花ちゃんはそれ聞いてたの?」

「うん。でも何も言わずに黙ってた」


 複雑な親子関係なんだろうか。


「それで、治療中に柿本さんは夏休みどうしてるの?って聞かれたから基本的には暇してますって言ったら、じゃあベビーシッターのバイトしない?ってなって」

「引き受けたんだ」

「いや、うーん。子供の扱いはよく分からないからって断ったんだけど、どうしてもって言われて」

「引き受けたんだ」

「うん…」


 バイト代山分けするから手伝ってえ、と美都が情けない声を上げた。

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