ガチャと奴隷と異世界ゲーム Qモンスターが歩き回るヤバい世界になりました。どう生きればいいですか? A異世界ガチャで美少女奴隷を当てましょう。そうすればボッチでも素敵な終末ハーレムライフを送れます!
第22話 開戦、予想以上の立ち回り、そして鎧の奪取
第22話 開戦、予想以上の立ち回り、そして鎧の奪取
「……いた」
何とか事が始まる前に駆けつけることが出来た。
「私たちのことには気づいていませんね」
ソルアの言う通り、ホブゴブリンはノロノロと前進を続けていた。
道路の中央を我が物顔で歩くその姿は、まるで自分がこの地域一帯の支配者だと信じて疑わないかのようだ。
「……行けるな、ソルア」
「はい」
ソルアの傍には既に、魔法により生み出された【
同じように、俺の顔の横にはファムがいてくれた。
――ファム、ずっと奴の背後をとり続けてくれ。感覚は今から共有しておくぞ。
≪うん、任せて! シュッ、シュッシュ!≫
小さな体でワンツーと拳を前後させ、気合い十分さをアピール。
……君はサポートだけお願いします。
あの巨体相手だと、一瞬でプチッと潰されそうだからね。
まあともかく。
準備万端、こっちは総力戦で一気に行くつもりだ。
「よし――」
ファムが空高く飛び上がり、位置取りを終えたのを見届ける。
そこで、奇襲を開始した。
――【
傍に落ちていた屋根瓦を浮き上がらせた。
重みも適度にある。
的になってくれるデカい頭目掛けて発射した。
「BUGA――」
命中。
大きな衝撃となり、瓦が砕ける。
だが――
「……うっわ。全然効いてる様子じゃねぇな」
ホブゴブリンは軽く頭を振って、周囲に視線を巡らせる。
小さな泥団子でもぶつけられた程度みたいに、全くの無傷だった。
それならばと、今度はガラス片を操り射出する。
背後をとり続けているファムと視界を共有していることにより、今度も奴の死角から攻撃することができた。
「GUBA!」
こちらもゴブリンの首に命中。
突き刺さりはするが、しかし、厚い首回りの肉が大きなダメージとなることを阻止している。
……なんか蚊に刺されたくらいのリアクション。
硬いなぁ、勘弁してくれよ。
「GOOOO――」
流石に敵意を感じ取ったのか、こちらの存在に気づいてしまう。
うわ~、もっと鈍感でいてくれよ。
早くも厳しい戦いを予想させられた。
ゴブリンはゴブリンで、俺を見て
寝起きで、しかもこれから極上のお楽しみが待っているというのに、それを邪魔しやがって。
そんなハエでも見る目つきだった。
「…………」
だがその顔に、笑みが生まれる。
興味ができたという顔だった。
それは強者と出会えた純粋な喜び……みたいなものではない。
――そりゃぁ、ソルアもあいつにとっては極上の
俺の2歩ほど後ろ、ソルアを見つけての変化だった。
「GOBUGYAAA……!」
醜く、卑しい。
ただの獣の顔だ。
俺のことなど全く眼中になく。
汚い獣の欲望やいやらしさを隠そうともしない目が、ソルアの体中に注がれた。
……まあそうやって油断してくれるなら、いいさ。
――勝手に油断したまま負けて、死んでくれ。
□◆□◆ ◇■◇■ ■◇■◇ ◆□◆□
<奪うスキルを選択してください>
[候補スキル一覧]
①身体強化Lv.3 ※施設レベルが足りません
②HP上昇Lv.4 ※施設レベルが足りません
③筋力上昇Lv.3 ※施設レベルが足りません
④身体硬化Lv.1
――【身体硬化】……そりゃ硬いわけだ。
【スキル
見た目通り、脳筋の筋肉ゴリラ仕様だ。
<使用するIsekaiを決めてください>
[使用Isekai]
□500Isekai
成功率……5%
500Isekaiでこれかよ……。
【身体硬化】をなんとかはぎ取りたいが、成功率が低すぎて難しいか。
「GOGYAAA!!」
「っ!」
何の工夫もない、ただの腕による殴りつけ。
だがこの丸太みたいに大きな腕がもろに命中すれば、俺じゃあ一たまりもないだろう。
――それがわかっていれば、対処のしようはいくらでもあるけどなっ!
体を捻り、殴打を回避。
危なげなく攻撃を避けることができた。
「らっ!!」
それだけに終わらせず、包丁で腕を切りつける。
ただ力任せに振るのではなく、また量産品の包丁を折らせない切り方だ。
筋肉ダルマのスキル構成を見てもそうだが。
攻撃を真正面から受け止めようとたら一瞬にして破壊される。
そのことが、感覚的に理解できていた。
だから回避に専念し、そのカウンターとして切っていくスタイルで戦っていた。
「GOBOOOOAAAA!!」
――分かる! 右っ、で、次は左かっ!
その最も肝な部分、回避が。
自分の予想した以上の出来を見せてくれていた。
まず【索敵】を使い、頭の中で常にモンスターの客観的な位置を把握。
≪っ! あっ、こっち、うわっ、っとと!≫
そしてファムが、大きく動くホブゴブリンの背中側に常に張り付いて、俺の第2の目となってくれていた。
裏側から見ないと得られないモンスターの微細な挙動、息遣い、本人も気づいていない僅かな癖。
敵と相対していない背中側だからこそ得られる情報が、ファムからもたらされる光景にはぎっしりと詰まっていた。
「はぁぁっ!!」
「GOGYA!」
遊撃ポジションのソルアも、次々とヒットアンドアウェイでゴブリンの傷を増やしていく。
一撃で致命傷には至らなくとも、ゴブリンの体には着実に傷跡が増えていった。
「GOB,GYAAA!!」
「っと! お前、俺が相手だって、何回言えばわかんだよ! はんっ、脳筋か?」
そのソルアを捕まえようと伸びた腕を、俺がすかさず切りつける。
何としてでもソルアとゴブリンの中間に入るよう立ち回っていた。
性的な気色悪い視線から。
そしておぞましい想像を現実化させようとするその体から。
ソルアを守る盾となるように。
「GOGYA,GOGYAA!!」
当然、苛立ちを
「っ、よっ、ほぁっ!――」
ゴブリンの猛攻、その全てを
【索敵】による、頭での客観的な位置把握。
ファムというもう一つの視界からもたらされる、正に言葉通りの膨大な裏情報。
以心伝心のごとく動いてくれるソルアの攻撃が、相手の行動へ限定を加えてくれる。
俺の挑発によって、ゴブリンの行動が明らかに単調化しているのもプラス要素だった。
そして、20年間付き添ってきてくれた俺自身の目が、決め手となる。
「――お前さぁ、そろそろ分かれよ。お前の攻撃、これからもずっと当たらないぜ?」
一つ一つでは効果が限定的でも、全てが俺の脳内に情報として一元化された時。
――簡易的だが、疑似的な予知・予測めいたことを可能にしていた。
□◆□◆ ◇■◇■ ■◇■◇ ◆□◆□
「GOBO,GOBO,GOBYA……」
ようやく違和感を覚えてきたらしい。
ホブゴブリンの顔には、明らかな疲労の色が浮かんでいた。
そして俺へと向ける目にも変化がみられる。
焦り、不快感、そして小さな恐れ。
「さて、ここからどうするか――」
とはいえ決定打を未だ与えていないという意味では、こちらも油断できないことに変わりない。
【身体“硬”化】。
【身体“強”化】と似た語感をしているとはいえ、スキルのレベル差があるにもかかわらず、明らかに質が違う。
【操作魔法】と【時間魔法】が、名前に共通性はあれどレア度が異なるような感じか。
――だが、【身体硬化】の鎧を乗り越える、さらなる攻撃力は別にいらないのだ。
<使用するIsekaiを決めてください>
[使用Isekai]
□500Isekai
成功率……48%
――っし! 使用Isekaiは変えてないのに、成功率が増えている!
<スキル
『“相手のステータス”に依存』ってことはHPの残り、要するに抵抗力が下がれば下がるほど成功率も上がると踏んでいた。
それが実証され、最後のダメ押しを仕掛けることにする。
「――【
灰色の魔法陣が自分を取り囲んだ。
一時的な間のみ許された、時間の
相手が無抵抗であればあるほど成功率が上がるということは、つまり。
モンスターの抵抗できない、認識できない時間外から仕掛けることができれば。
それは飛躍的に成功へと近づけることを意味する。
<使用するIsekaiを決めてください>
[使用Isekai]
□500Isekai
成功率……91%
※決済:【施設利用カード】
40%以上の上昇。
世界がスローモーションである間に、【スキル盗賊団】を発動する。
銀の光弾が、次々と現れてはホブゴブリンへと命中していく。
「――」
引き延ばされた時間では、ゴブリンの声は意味をなさない音の連続になっていた。
その間にも銀色は、次々と浸食を広げる。
ただのゴブリンとは一線を画すその巨体も、一瞬にして銀色に染め上げられていた。
<結果報告――スキルの奪取に成功しました! 詳細:【身体硬化Lv.1】>
大きな光の塊を受け取って、スキルの奪取を全身で理解する。
鋼の鎧ははぎ取った。
これで、勝ちだ。
「――ソルアッ、
【加速】が切れた後、ソルアに全てが理解できる一言を伝えた。
「っ、はいっ!――」
今までの、
力強く駆け出したソルアは、温存していた【
「――【フルチャージ】!」
ソルアの声に呼応し、【光核】全てが光と化して剣へと集まる。
光のオーラを纏った剣は一回りも二回りも大きく、そして“圧倒的な力”を否応なく他者へと想像させた。
「せあぁぁぁっ!!」
斜めから切り下ろされた刃は、ホブゴブリンを完璧にとらえた。
今までの硬質さは見る影なく、驚くほど容易くその肉を切り裂いていく。
左肩の首付近から、右脇胴体まで。
ソルアの一撃は巨大なホブゴブリンの体を、見事に一刀両断したのだった。
<所有奴隷“ソルア”がホブゴブリンを討伐しました。210Isekaiを獲得しました>
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