第62話
それはそれは人間離れした綺麗な肌なり髪の毛なりを堪能した。おかげで私はつやつやです。
まあ、人間じゃないんだけどね。
「ふう…さっぱりしていい気分…だったはずなのに気持ち悪いです。最悪です」
ほかほかと湯気をまといながらぶすっとしているシュナがそこにはいた。
一方わたしはほこほこのつやつやで大満足。
この時ばかりは自分の性別をありがたいと噛み締めた。
「ご馳走様でした!」
「焼き殺しますよ?」
「丸焼きは痛いし苦しいからやめて欲しいな、
せめてほかの楽なのでお願いします。もうくいはないですお疲れ様でした私の人生。」
「…うわぁ………」
ボコボコに温まったわたしには冷ややかな目が今は心地よい。いい感じに。
「何をしても…勝てない……」
今の状態に何を言っても無駄だと言う判断だ。
正しい撤退である。話が通じない相手からはそそくさと逃げてしまうが勝ちである。
「牛乳とかないの?あったら嬉しいんだけどなぁ…」
「牛乳…?あぁ牛の乳ですか、ありますよ?え?今飲むんですか?」
「当たり前よ!牛乳と言えば風呂!風呂と言えば牛乳よ!どちらか欠けたら世界に終焉がこんにちはしちゃうからね!」
「縁起でもない物騒なこと言わないでください!そんな簡単に終焉も終末も来ませんよ、どんな世界なんですか…」
「うん?あー…わたしが元々いたところなんだ、地球っていうんだけどさ。そこはそんな程度で終焉も終末も迎えられちゃうんだよねぇ…」
「とんでもない世界じゃないですか、よく生きてましたね…」
「いや、わたしは死んでるんだけどね?もう」
「あ゙…」
空気が死んだ、死んで氷った。
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