第54話

お風呂をめざして3週間、汚物まみれ汗まみれ。

うーん、無理!


「3週間はかかりすぎて嫌です。別の案を所望します」

「普通に歩いて行ったら、ですよ?空間移動したら秒ですよ」

「ほへ?」

「えーと、あれですよあれ…あの、あー…ワームホール?」

「ワープじゃなくて?」

「あっ!それ!それれ!それですよそれ!」

(おお…しっぽがブンブン揺れてる揺れてる…犬みたいだ。)

しみじみ思った。ふいに頭やら顎やらを撫でたくなった。がしかし。

ヒュン、ヒュッ!ドギャッ、メキッ

なんか物騒な音がする。

しかし音の手札が少なすぎる。

地面が削れていく、次第に衝撃波が頬を引っぱたく。痛い。

(迂闊に手を出さなくてよかったかもしれない。)

やっぱりドラゴンなんだなって。

「まあそのわーぷ?とやらを使えば一瞬ですよ!瞬きする間に到着ってやつですよ!」

「ほう…便利だな…」

「でしょう?でしょう!むふふん!」

左手を胸の真ん中においてむふむふしてらして。


うーん、可愛い。

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