第43話
人が捨てられてた、それに関わってしまった。
「よくぞ我に声をかけてくれたな、いい人よ!」
むん!と胸を張ってドヤ顔をのぞかせる。
※ただしダンボールの中である。
「先程も言った通りだ、我を連れていかないか?なに、損はさせんよ!むしろ得!お買い得ってやつだな!」
※ただしダンボールの中
「こう見えて我は人間じゃないんだぞ!ちょっとレアな竜種だぞ!ドラゴンだ、ドラゴン!がおー!」
※ただしダンボールの中
ああ、めんどくさいのに関わってしまった。どうしたらいい?もうこれ無視して走り去るしかない?そうしよう、何も見なかったことにして走り去ろう。
心に固く決めたので無言で前を向いて走り出す。
「うおおぉおおおおおおおおおおお!唸れ私の足共!風のように突っ走りやがれ!」
全く速い、なんてこともないがこんなことを言っておけば心做しか自分がまるで足の速い人であるかのような錯覚をすることができる。
※あくまで錯覚は錯覚である。
まあそれは置いておいて、走りに走って力尽きる。
「ハア…ハア…ハア…ゲホッ。あー辛…2キロは走ったんじゃないか?」
※500メートルしか走ってません
「ここま、でフゥフゥ…くれば…アー酸素が…振り切ったんじゃないか…?」
肩で息をして後ろを見た。
「無視は悲しいぞ?なあ、我が話しかけてたのに。酷いぞ!世界終わらすぞ?」
キスできそうな距離にいやがりましたよコイツ。
「ウギャァァ!」
かなり怖かった、振り返ってゼロ距離は心臓止まる。まじやばいやめて。危うく致命傷だぜ!
「ヒギャァァァァァァァァァ!」
お前も驚くんかい!ふざけんなビビらせやがって!
声にならない声でちょっとブチ切れてみたり。
とんでもないものに関わったな、と。
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