第40話
始まって早々、思う。
どこに行きゃあいいんだ?これ。
あと何すればいいんだ?この世界で。
「思ったより前提に何も無い…」
早速頭を抱える始末。
「どっちが街だ?とりあえず」
だだっ広い草原のど真ん中に放置されただけ。
「うえっ、やばい…どうしようこれ」
オロオロして周りを見渡すけれど、目に映るのは草、草、草、空、沈み掛けの太陽。
「あっ、オワッタ。なんでせめてトリセツ的なの置いてってくんないんだアイツ…無理ゲーか?不親切だなぁ」
ぶつくさ文句が垂れる、そんなことを言わずに前向きに動き出せる方がよりカッコイイのだろう。けれど人間みんなそんなに精神までカッコイイわけが無い。
いざ自分がその場に立たされた時にこそその人の人間性が出る、とはよく言ったものだ。
上に下に右に左にと辺りを見渡してはどこへ行こうか絶望する。
「ん?」
ふと、自分の足が何かをけとばす。
「何故ここに木の棒が?」
さっきまでなかったはずの木の棒が、どこから出てきたのやら。
「もうこれでいいか、これに行く方向決めてもらおう」
後にわかる、人生とは考えるのも大切だがこれくらい適当でもいい、と。
そうして棒を拾い上げてはぶん投げる。
「良い方へお願いしますよっと」
投げて思う、どっちが頭だ?
もう全てにおいて準備不足、それを読んでいたのかなんなのか、地面に突き刺さる木の棒。
「あー…優しこの棒」
もうそれでいいや、と考えるのをやめた。
ただの木の棒として速攻でぶん投げたからこそ気が付かなかった、いかにも頭はこっちだ、とアピールする如く先っぽに葉っぱが付いてる。
「じゃあこれが頭で、よろしくさんですよっと」
ヒュンヒュンと宙に舞う棒は何も面白い動きはしないまま昇って落ちて行く道を黙って示す。
頭は自分に向いていた。
「あ、じゃあ私の後ろか」
そうして進む道が決まった。
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