第37話

そうして悩むこと…時計ないからどれだけ悩んだか分からないけれど、まあ結構な時間悩んで悩んで、考えて、最後はあっさりと。

「じゃあいわゆる剣と魔法のファンタジーな世界がいいな。魔法とか使ってみたい」

「そう寧音が自分で決めたならそれでいいけれどさ、なんで剣と魔法なの?剣ってその世界で持つ?どっちかっつーと杖じゃね?」

「うるさいなぶっ飛ばすよ?分かるか?ヲタクはなぁ!そういうのが大好きなんだよ!厨二病だから!」

「それは全世界のヲタクを代表して言っているのか?だとしたら謝った方がいいぞ、とんでもない偏見だ。全員が全員じゃないだろう」

「チッ、っせーなぁ!細かいことはいいんだよ」

「今どきの若者怖ぇな…急に怒るじゃん」


まあいいけど…。

と一言、ポツリと呟いてキリッとした顔で

「本当にそれでいいんだな、この先は変更できねぇぞ」

「もちろんそんなものもねぇよ」

雄々しい返答だ事。輩かよ。

「承った、最後の質問だ。その世界で何がしたい?」

「何もしたくない、自堕落に、安全安心の環境下でぬくぬくと生きていたい。それだけ」

「ハッ、ここまでやる気のないやつはいなかったよ。まあせいぜいソレを勝ち取るんだな」

「サルーシェこないの?私の召使いとして」

「行かねぇよ、なんだお前召使いとか言いやがってふざけんなよ?これでも神の使いだぞ」

「ほん。召使いじゃん、ついでに私の召も使えよ」

「何様だお前…」

「私様だ、あ、いや。寧音…カタカナ表記でいいか、漢字じゃあ世界観に合わないし。

シズネ様だ」

「あっ、そう。がんば」

「テキトーだね、それでも神の使いなの?」

「ムカつくなぁ…コイツ……」

いつも通りのプロレスを一通りして、いざ。

「じゃあな、この世界の理不尽から自由勝ち取って見せろよ」

「雑…」

その瞬間視界が真っ暗になった。

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