第36話

「お前は本日発売のRPGで勇者が冒険の書開いた時からレベルもmpもスキルも何もかもカンストしてるのを見て、それで冒険して楽しいか?」

核心部分みたいなのを突くの辞めて欲しいよね

「コツコツ努力して、レベル上げて、新しいスキルを身につけて魔王を倒すのが楽しいんだろ?んな開始10分で始まりの村から魔王城で魔王ボコボコにしちゃったらいくらなんでも魔王側が可哀想だ。そんなもん2週目以降の楽しみ方だろう」

「ぐぬぬ…」

意外とぐぬぬは出る、ぐうの音以上も出る。

まだ、まだ負けてない…!

「それにそもそも世界観の設定できてないし、お前が言うチートじみたものも存在してないぞ、まだ。どうしたいのかをはっきり定めてくれよ」

そう言われてハッとする。そういえば何も決めてない。

「いわゆるRPGのような日本とは掛け離れる世界を、魔法だモンスターだといったファンタジーの世界なのか、また現代の日本にするのか、現代じゃない日本を含めた地球なのかとかなんだとか。決めないことには始まらない」

難しいこと言うなコイツ、確かに某RPGの世界観とか憧れるし好きなようにできるなら過去に戻ってやり直しも気にはなる。

それ以外も自由に作れるのなら歴史を遡って見たり聞いたりしたいという欲もある。

あぁ、自分で決めるって大変なんだな。いつも誰かが決めてくれて、レールを敷いてくれて、歩きやすいように道を舗装してくれていたな。

どんな世界でどんな風に生きて、何をしたくて、何をしたくなくて、自分が何になりたいのか、なんて考えたこともなかった…。



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