第31話

光に包まれて意識が消えてからどれほどたっただろう。

意識と無意識の狭間でふわふわしている中、肌がふと思う。

外気温が2℃以上は下がった感覚。

「寒っ…」

そう思うも束の間、体がふわふわする。

体調不良とか変な気分のアレではなく、現実的に、物理的に。

というより体が上下反転した。

上下反転…?

そして下へ下へと進む事実。

「へっ?」

されど目は開けられず、何が起こっているかも分からないまま冷たく、かなり強烈な勢いの風が頬を引っぱたく。

目が開かない、開けたくても開けられない。

「アアア?!どうなってんのこれ!?」

思いがけず叫ぶが自分の声が思ったように届かない。

「落ちてんだよ、下に」

紛うことなき自由落下

「そっか…落ちてん…はぁぁぁぁぁぃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ?!」

「おー、うるせ。風の音で聞こえねぇと思ったのにそれを突き破る叫び声のうるささたるや。静かにしてくんねぇかなぁ、落ちてる時くらいはさ」

「何言ってんだお前!ふざけんな馬鹿野郎お前コノヤロウ!聞いてねぇぞ落ちるなんてふざけてんのかボケカスああん!?死ぬ死ぬ死ぬ死ぬって死ぬよコレやばいまじで死ぬアッ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」

「ww必死でキャラ崩壊してる寧音まじウケるwwww」

よし、生きて落ちれたらコイツは殴ろう。まじで。

「の前に生きれるか?これダメじゃない?死ぬくない?無理よ無理」

「まあ、何とかなるべ、人生思い切りが大切よ。分かるよな?」

「分かるわけねぇだろうがァっ!」


されど今土は見れず、落ちるだけ。

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