第30話

今度こそ、といざドアの前へ。

「出来ればなんも考えない方が楽でいいぞ」

意味がわからんことを言うな、言うなら説明をちゃんとせいよ。

ドアの前で深呼吸を、心臓が高鳴ることを理解する。新しいことを始めるワクワクだろうか、それとも解らない所へ行くことへの恐怖だろうか。

「気をつけて、時々帰ってきなさいよ」

「今度はちゃんと生きて帰ってこい、それだけは忘れるな」

振り向けば笑顔で手を振る2人がいる。

「行ってきます、今度はちゃんと帰るから。2人も元気でね」

そう言って開く。

その瞬間、トビラから漏れた光に包まれる。

「「行ってらっしゃい、寧音」」

その言葉を最後に意識がプツリと消えた。
















30話かけて、ようやく始まりである。

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