第29話
「分からなくてもいいからとりあえず進んでみるべきだね。悩んだって止まるな、歩け」
熱血オヤジか?いや、違うか。
「とりあえず目を瞑って何も考えずにトビラを開ける。そうしないと始まらねぇよ」
と、サルーシェが言うか目を瞑る。
しかして、何も考えないがいちばん難しいことだと私は思うけれどね。
渋々言われた通りに目を瞑る。
「そしたらそのまま世界のトビラを開く。その行動の結末が自分の心底にある答えを教えてくれる」
何も無いけどな、エア開閉すればいいの?あ、いや閉したら閉まるか。エア開か。
目を瞑って右手でドアノブを捻って引く。
「ブハハハハハハハ!」
なぜ笑うこのタイミングで。変な世界でも出たの?失敗したの?何かヤバいの?
「フッ…ふふふ……あはははははは!」
オイわからん、母までも笑い出したよ、どうなってるの今。目とか開けていいの?ねえ!
「エアでトビラ開けてる…w」
あ、コイツ私で遊びやがったな。殺すか。
「ちょっと…w笑ったら悪いわよ…ww」
わけぇなこの母親、草生やしてんじゃないよ!ムカつく、めっちゃムカつく。
「目、開けてみろよ」
「はあ…」
そう言われて恐る恐る目を開けてみるも、何も変わらない。変わってない。
「エ?ドユコト?」
「何も起こってないぞ。ただお前が目を瞑ってエアでドア開ける仕草しただけ」
「歯を食い縛ろうか。なあ?」
そのまま躊躇いなく拳を振り下ろす。
「そんなんじゃこの先生きて行けねぇよ。拳も鈍いし」
割とすんなり避けられてショック。
「ちゃんとドアの前に立ってもう一度やってみろ。今度は目なんか瞑らなくていいから」
うわぁムカつくこのふざけたあとキリッとすれば許されるみたいな雰囲気。
けれどやらなきゃ進まないので仕方が無いからやろう。
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