第28話

「で?結局どうなの?この世界。私何も知らないんだけど。外どんな感じかハッキリ見てないし」

「それはね、まだひ・み・つ❤」

「ブチ転がすぞオマエ」

「やってみろよクソガキ」

一瞬で終わるおちゃらけた雰囲気、一触即発すぎるだろコレ。

「寧音、あなたはどうしたいの?どんな世界でどう暮らしたいの?」

ふと、そんなことを聞かれてみても。真っ先に思い浮かぶは一言にして「怠惰」それ以外にあるか?いや、ない。

自堕落に生きていたい、何もせずに好きなことだけをして生きていたい。それはそれで理想であり幻想甚だしいけれど夢くらいみたっていいじゃないかと強気な主張。

「本当に?」

嫌に真意を吐かせようと投げかけられる言葉に少し胸が詰まる。

(どう暮らしたいか?そんなこと考える暇もなかったから分からないよ)

たしかに学生の頃は夢があり理想があった。

宝くじを当てて…

働かないでボーッと…

いつかは結婚なんかしてみたり…

老後は縁側でお茶でも飲みながら日向に当たりつつ、そっと息を。

けれど夢は夢のまま、幻想は幻想のまま。

憧れは憧れのまま、残酷に消えていく。

希望を持つ暇すらなく仕事にノルマにプレッシャーに、パワハラにストレスにすり潰されて消えていった。


故に、改めて聞かれても何言うかと。何を夢見るか。





そんなことは














解らない。

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