第20話

決してしたことに対して責め立てたかったわけではなかった。

誓って行きどころをなくした怒りをぶつけたかったわけでもなかった。

けれどそれをせずにはいられなかった。

そんな怒りと悲しみと喜びと悔やみが胸の中で溢れて暴れて止まらない。

「本当に…もう一度でも…会えてよかった…話せてよかった……」

父が止まらぬ涙で震えながら囁く。

「ごめんね、気がついてあげられなくて…世界にたった1人の娘のことなのに…」

母が後ろから抱きしめられて頭を撫でられるのが止まらない。

「……ッ!」

見限らなかった、悲しんでくれた、今も尚大切だと示してくれた。

そこから感じる喜びとそれらを裏切った悔やみ。

流れる涙はどちらなのだろう。

複雑に相反した感情でどこへ飛び出すのか分からない。


喜びながら悲しんで、怒りながら悔しんで。

そうして赦された。

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