第19話

ずっと重い空気、広がって、沈んで、伝染して。

寧音しずねはひたすらに自分を責める、悔やむ、ひたすらに謝ること。

それ以外にできることなどなく。

父親と母親は自分たちに頼らなかったこと、1人で抱え込んでいたこと、自殺へと追い込んだ会社の人間への怒りが募る。

自殺をしたことへの悲しみ、気がついてやれなかったことへの悔やみと情けなさが心を支配する。

ぐちゃぐちゃのまま対峙して、それでも言わなければならないことは無理にでも伝えようとした。

重い空気はなくならない。

「だが、また会えたのだから安心した。本当に…また会えてよかった…」

初めて、生まれて初めて自分の父親が私を叱ったあと涙を流した。安堵の笑みをこぼしてみせた。

叱られたあとは決まってしかめっ面で何日も過ごす。

反省した頃にようやく頭を撫でてくれた。

それが飴と鞭と思って使っていたのだろう、当時の私にはよく効いた。


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