第16話

朝っぱらから父母の前で泣きじゃくった後、スンスン言いながらお茶をすすっていた。

「で?」

はい、まあソウデスヨネ。

その「で?」たった一言で場が少し凍る。

ただ、嫌な感じではなく背筋が伸びるほどのある種緊張だった。

「急に家を出ていったと思ったらで結末を知った私らはどうしたらいいんだい」

「…」

まるで口が開かない。けれど言わなければならない

頬を二度強く叩いて真っすぐ両親の目を見て、姿勢を正す。

そうしてあったこと、自分がしたことすべてを語りだす。

タンカを切って意気揚々と上京したこと、就職先が思ったよりもえげつないブラックだったこと、パワハラセクハラ、その他圧力に負けたこと、そうして自殺に走ったこと。

ただ、重苦しい空気だけがそこに漂い続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る