忌み数

月乃兎姫

第1話

 日本では不吉な数字を示すものは、死を意味する「4」であり、幸運を意味するのは専ら「7」であることは今更言うまでもない。


 車のナンバーに始まり、電話番号なども同じ数字が揃うゾロ目を好む傾向がある。人によってはそれらのナンバー取得にお金を払う人も少なくないことだろう。特にゾロ目の「777(スリーセブン)」などは縁起が良いとされているが、これはパチンコ・パチスロにある、大当たりからの流れではないかと私は思っている。


 しかしながら海外に目を向けてみれば、この「7」という数字は決して縁起が良いものではなく、むしろ不吉であるとも思われ、特にイタリアなどでは「17」という数字は飛行機の座席でさえ席の交換を申し出るほど、迷信深いものである。


 日本であれば、「13」という数字がそれらに当てはまることだろう。これは映画の影響も強いだろうが、キリストの最後の晩餐の数字が13人であるなど諸説ある。またアンラッキー7などという、逆張りのような言葉もあるくらいだ。


 ただアンラッキーと一口にいっても、国が違えばまたその意味の捉え方も異なり、人が信じるからこそ意味を成す概念でしかない。


 神がいる、運が良い、それらすべても人ありきの物事であり、その裏では政治的意味合いで用いられたことは過去の歴史が証明している。特に日本であれば、神や仏というものは、その概念こそ庶民の間に遥か昔から根付いていたものの、誰もその姿形を具現化してはいなかった。


 それを誰の目に見える形にしたものこそ、「像(または仏像)」である。像とは、

神や仏の姿形を(かたど)ったという意味であり、日本でそれが広がりを見せたのは、室町時代とも言われているが一説にすぎない。

 これは当時における権力を持つ者が、疫病や飢饉などに苦しむ庶民に向けた、言わば体裁のいい「救い」である。しかしながら、実際には自らに対する政治の不平不満から目を背けるための道具にすぎなかった。


 人は誰しも苦しみや不幸な目に遭った際、他人にその原因や恨みを抱くものである。1000年以上が現代においても、伝える手段や媒体が異なるだけで、本質的には何も変わっていないのかもしれない。

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忌み数 月乃兎姫 @scarlet2200

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