第39話 愛されて、愛して、それから、
フィスクと話した後、母に怒涛の勢いで怒られた。
それはもう、これまでの人生で一番と断言できるほどに、ものすごく怒られた。
アイル曰く「フィスクとシャイラがほぼ同時に動揺したことによる魔力の暴走」で、店の商品をすべて駄目にしてしまったらしい。だが、エリーシャはそのことについては一切触れなかった。
ただ、シャイラが自分の命を投げ出そうとしたことだけを、真っ赤に泣き腫らした目で叱り飛ばされた。
そして、無事だったことを泣きながら喜ばれた。
(……私、大事にされてるんだ)
当たり前すぎて、これまで蔑ろにしていた。自分が、母親に愛されているということを。
それから、コーニもシャイラを心配して来てくれた。
もともと、アロシアが教会から脱走したことを知らせに来たのが、コーニだったらしい。フィスクたちと一緒にシャイラの元へ駆け付け、アイルが取り押さえたアロシアを教会へ連れて行ってから、また花屋まで来てくれた。
コーニもまた、シャイラのことを大切に思ってくれている一人だ。弟のような幼馴染にあの醜態を見られたのは、とんでもなく恥ずかしいけれど。
フィスクだけじゃない。シャイラを愛してくれる人は、他にもたくさんいる。
その人々は、シャイラが生きることを望んでくれるだろう。
けれど。
(そうしたら、私は……。私の、この想いは、どこへ行くんだろう)
シャイラはまだ、その答えを出せないでいる。
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