佳子セブン

ろくろわ

7days

 良く晴れた日曜日の朝。佳子よしこは先週の日曜日の事を思い出していた。

 先週はすごくツイていた。偶々たまたま入った電化製品店で一目惚れして買ったミキサーはキャンペーン中。様々な賞品が当たるくじを引く事ができ、何と一等の黒毛和牛が当たったのだ。

 

 だがラッキーだったのはここまでだった。


 月曜日に彼氏の昌士まさしに和牛のハンバーグを作ろうとしたら「お前には無理だ」と止められた。

 あまりに悔しくて、私は使い方の分からない買ったばかりのミキサーで和牛のミンチを作ろうとしたら、部屋中に飛び散ってしまった。

 火曜日には紹介されたお料理教室で和牛のスジ肉の筋肉きんにく弁当を作ろうとしたが、包丁が折れてしまい、振り回した結果、部屋中にスジ肉が飛び散った。

 水曜日には黒木くろきさんがスープから作ったらとアドバイスをくれたので、和牛のテールスープを作ったら鍋ごと熔けて消えた。

 木曜日にはタンシチューを作ろうとして天井にタンが刺さった。

 金曜日には簡単な焼き肉くらいは作れるだろうと和牛を焼いたら備長炭ができた。

 土曜日には備長炭を使ってローストビーフを作ろうとして部屋がローストされ、ビーフはどこかに行ってしまった。


 あんなに沢山あった黒毛和牛はこの六日間で全て無くなってしまった。

 和牛だけじゃない。

 買ったばかりのミキサーは壊れてしまい、包丁も折れ、天井には穴が空き、部屋はいぶされてしまった。

 黒木さんに頼む掃除も毎日になってしまった。


 本当にツイていない六日間だった。

 この一週間頑張って料理を作ったのに、手元に残る料理はほんの一握りだった。

 唯一ゆいいつラッキーだったのはそんな一握りの料理を昌士が涙を流して食べてくれた事だった。

 食べた後にすぐ寝ちゃう所は子供みたいだったけど。


 よし、明日は日曜日だ。

 壊れたミキサーや包丁を買いに街に出掛けよう。どうやら天気も良いみたい。

 明日こそはラッキーな七日間目になりそうだ。


 佳子の目は輝いていた。



 了

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佳子セブン ろくろわ @sakiyomiroku

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