第8話・抗えぬ死



 俺は階段を降りていった。

 すると、いきなりナイフが飛んできた。

 そこそこ意味の分からない状況ではあったが別段そこまで早くなかったので簡単に避けると、今度は2本ナイフが飛んできた。

 それをしゃがんで避けたら。

 今度は4本ナイフが飛んできた。

 ジャンプして避けたら。

 今度は8本ナイフが飛んできた。

 ヤバい、これは避けれない。

 そう思った時、咄嗟に俺は魔法を唱えていた。


「破壊魔法・物体破壊」

 ナイフは破壊され、パラパラと床に落ちる。


 はい、やらかした、禁忌魔法やっちゃたよ。つい反射的に使っちゃったよ。

 どうしようか?今この場にいる人間全員皆殺しにして口封じするか?有りだな。

 今の俺ならば多分簡単に全員殺せるだろう。


「なるほど、空間魔法に破壊魔法、そして、その膨大な魔力と身体能力、お前を暗殺者ギルドの見習いにしてやろう」

 何か急にオッサンに話しかけられた。


「いや、あのここって暗殺ギルド何ですか?というか見習いって、別に俺はただお金を両替しに来ただけなので、というわけでお金を両替させて貰っていいっすか?」


 ・・・・・・


 嫌な沈黙が走る。


「あれ、俺なんかやったいました?」

 何となくラノベの鉄板ネタを言ってみる。


「ハハハ、なんて舐めた態度だ、どうやら殺されたいみたいだな。いや、待て1分やる精一杯の命乞いをしろ、気が向いたら助けてやる」

 あ、メチャクチャ怒ってらっしゃる。

 どうしよ、命乞いするか。いやそれはなんか嫌だな。殺すかコイツ。でもこいつ殺して大丈夫かな?多分魔力量的にも俺の直感的にもコイツを殺すのは簡単そうだけど、殺して不都合があったら嫌だからな。


 そうだ。質疑応答、教えてくれ【俺の今目の前にいるこいつ殺して大丈夫か?】

 1000ポイント消費します。

 はい。殺しても問題ありません。

 一応彼はこの暗殺ギルド支部の支部長ですが暗殺ギルドは弱肉強食、弱い者は死、強い者は全てを得るというのがモットーなので、所有者様がそこの奴を殺しても強さを認められこそすれど、問題になりはしません。殺しても大丈夫です。


 そうか、スキルに礼なんておかしい気もするが言っておく、ありがとう質疑応答、自信をもって殺ってみるよ。


「おい、1分立ったぞ、どうやら本当に死にたいみたいだな。ハハハハハハ。どう殺してやろうか」

 下品な笑いをしながらクズが近づいてくる。


「黙れ、破壊魔法・人体破壊・腕」

 取り敢えず腕を破壊する。


 ゴギュ


「くそったれ、腕が、腕が~~~、無い、動かない、誰か、助けろ、こいつを殺せ~~~」

 そう喚きたてるが誰も助けようとはしない。人望ゼロやんコイツ。可哀想に。知らんけど。


「破壊魔法・人体破壊・頭部」 

 そして俺は頭を破壊させて殺した。


 ゴギュ


 結局誰も助けようとはしなかったな。まあ所詮暗殺ギルドやしね。さてと、取り敢えず俺の存在を知ってしまった。今この場にいる存在を全て殺しますか。

 まあ魔力量的にも簡単に皆殺しに出来るでしょう。


「死魔法・抗えぬ死」

 俺が簡単にこの暗殺ギルドの支部長を殺したことで驚いている人たちに向けてとある即死魔法を放った。

 この魔法の効果は単純明快、俺よりも弱い奴が抗えぬ死に誘われるという物だ。


 バタン


 今この空間にいた、全ての存在が俺の魔法によって即死して倒れた。


「さてと。これで証拠隠滅完了。もうこの場には俺しかいないし。両替面倒だし、適当に金目の物とお金を全て奪って帰りますか」

 俺はそう独り言を呟くと、金になりそうな物をあさり始める。

 まずかけてある高そうな絵や置いてある壺を空間魔法使って全部仕舞っていく。そっから更に椅子や机や棚や金庫、どうせ俺の空間魔法を使えばいくらでも物が入るので目についたものを片っ端から入れてく。そうして暫くしてから、何か床に違和感を感じてこじ開けると、隠し扉が出てきた。

 ワクワク気分で早速中に入ると。大量の硬貨が出てきた。

 そりゃもう山の様にあった。白金貨・大金貨・金貨・大銀貨・銀貨が俺の伸長を軽く超え溢れんレベルで地下室あった。


「凄いなこれ全部でいくらになるのやら?まあいいや。取り敢えず全部俺の物にしてきますか。いやはや素晴らしいな、マジで素晴らしい。お金ってのは偉大だからな、いくらあっても問題はない」

 そうして。少し時間がかかってしまったがお金を全て空間魔法を使い収納した。


「さてと。大満足大満足、こっから出て屋台巡りでもしますか」

 俺はそう満面の笑みで言った時だった。


 パチパチパチパチ


「凄いね、君あのパニッシャーを簡単に破壊するなんて、その上その他の人たちも全員簡単に殺すし。いやはやいやはや、こんな面白い発見があるから生きるのを辞められない」


 ざわざわざわざわ


 拍手されるまで存在に気付かなかった、見た目は細身の優男で強さなんかは一切感じない、なのに、怖い、まるで教会に呼び出された時にあった、あの人のようだ。いやそこまでではない、でも今の俺は逆立ちしても勝てない化け物なのは確かだ。


 さあ、どうする俺。どうすればいい。


 

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