第9話・神祖吸血鬼との邂逅と戦闘

 質疑応答、質問だ【彼の正体は何者だ、どういう目的で俺の目の前に現れた】

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 彼の正体は世界各地にある暗殺ギルド及び盗賊ギルド及び冒険者ギルドの最高責任者であり、この国の公爵家を2つ裏から支配している神祖吸血鬼・レゾ・ザナッフャー・グレイワーズ・シャブラストグドゥ・フィブリゾットです。

 所有者様の目の前に現れた理由は自分の支配する空間内で異質な魔力を感じたからです。


 なるほでね、無理ゲーじゃないですか。

 何、神祖って、真祖じゃないの、神なの、神ってことだよね。

 勝てるわけないだろ。どうする。逃げるか。

 いや、逃げれるのか。というか名前な、名前が完全にヤバいやん俺の大好きなあの作品の敵キャラの名前詰め込んだような名前してんじゃん。


「必死にどうすればいいのか考えているね。うん良いね最高だね、気に入った。この僕に一撃でも入れたら君を見逃してあげようじゃないか。でも一撃でも与えられなかったら、君を殺そう」

 なんて魔力だ、なんて悪意の強さだ、なんて強い殺気だ。なんて恐ろし存在なんだ。今すぐに逃げたい。全力で走ってこの場から逃げたい。

 でも、逃げれそうにない。この化け物が俺をそんな簡単に逃がすとは到底思えない。ならば、戦ってやる。一撃入れて見逃してもらうという選択に俺は賭けるしかない。


 一発勝負だ。不意を突く。


 俺は空間魔法にある訓練で出た大量の魔石を1割出す。俺の扱いきれる魔力の最大値だ。


「歪魔法・空間魔法・反転魔法・複合・あべこべ空間」

 空間が歪む狂う、反転する。感覚が狂って、存在がおかしくなり、誰も自分が何なのかすら、分からなくなる、あべこべな世界。

 少なくとも適応するのに時間がかかるはず。

 そのスキを突く。


「更にスキル・悪魔化・鬼人化・獣人化・発動」

 そして、俺の身体にある全魔力を身体中に纏い、あの優男に向けて右腕でパンチを繰り出した。


 スカ


「残念、惜しかったね、後右に数センチずれていたら危なかったよ」

「いや、まだだ、あべこべ空間、解除」

 あべこべ空間はその名の通りあべこべな空間、距離も立体感も大きさも全てがあべこべ、そして、俺はそのあべこべを自分で操作できる。それすなわち解除するときもある程度自由に空間内の場所をいじれるということだ。


 つまり、こういうことだ。

 俺の右腕の拳は優男の腹にめり込んだ。


「これはやられたね、凄いねこんなダメージを受けたのは数十年ぶりだよ、合格、いや大合格だ。君に暗殺ギルドの3つ星の資格をあげるよ」

「え、どういうことですか。いや待ってください、それよりも抜けない、めり込んだ拳が抜けないんです」

「あ、ごめんごめん、すっかり忘れてた、ほいっと。これで抜けるはずだよ」


 スポ


「抜けた良かった、ありがとうございます」

 このまま抜けずに腕へし折られるんじゃないかと少し不安だったわ。


「じゃあ、話を戻すけど、君には暗殺ギルドの3つ星の資格をあげるよ、この資格は一応そこそこの力を持ってるし、まあ、上手く使ってくれ」

 上手く使ってくれと言われても、いや、でも俺よりも圧倒的格上の相手勝てるわけがないし、何があっても大人しく従うしかないな。それと敬語も使うか一応目上の人だし。


「謹んでお受けいたします。貴方様のご期待に添えられるよう誠心誠意頑張らせていただきます」

 俺はそう言って深々と頭を下げた。


「良いね、良いね、そのすぐに状況に適応して。俺に頭を下げるなんて、よし、3つ星ではなく4つ星の証をあげよう、ホイ」


 いきなりバッチを投げられたので、慌ててキャッチする。


「それが、暗殺ギルド4つ星の証、今のところそれ持っているの12人しかいないから、上手く使ってくれよな。まあ、分からないことがあったら、その持っているスキル質疑応答に聞いてくれ、じゃあ、またね」

 その瞬間煙のような靄を残しその場から消えた。


「ハア、なんか色々あったな、疲れた。つかこの暗殺ギルドの証って何なのだろう。質疑応答に質問するか、というか待て何で俺が質疑応答持ってるってアイツは知っていた。いやまあ答えは簡単か鑑定された。多分それだな、じゃあ質問は一つだけでいいかな?」


「質疑応答質問だ。【暗殺ギルド4つ星の証って何だ?】」


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 暗殺ギルドには全てで6の階級があります。

 下から・雑用・星なし・一つ星・二つ星・三つ星・四つ星です。

 そして四つ星の者は自分よりも地位の低いギルドメンバーに対して絶対的な命令権を持ち。何をしても許されます。

 また、四つ星の持ち主は全員、神祖吸血鬼・レゾ・ザナッフャー・グレイワーズ・シャブラストグドゥ・フィブリゾットに認められた者が彼から直接授けられるものであり、極一部の選ばれた存在しか持ってはいませんし持ち主は無条件で小国に匹敵する力を持つと見なされます。というか実際に所有者様含め持ち主は全員小国程度でしたら一人で落とせる化け物です。

 ようはメチャクチャに凄い証ということです。


「なるほどね。うん超絶凄いモノやん。ただ明らかに厄介ごとの匂いしかしない。まあいいか貰えるもんやしありがたく貰っておきますか。つか俺一人で小国落とせるんやな。まあ確かに禁忌魔法使えば余裕で落とせるな。

 少し考えるだけで、感染力が異常に高く、致死性こそ低いが強烈な脱水症状と栄養失調に体調不良を引き起こすウイルスをばら撒いたり、複合禁忌魔法・哀れに感染するゾンビの群れでも使って、国民全員をゾンビにしたり、純粋に複合禁忌魔法で巨大隕石を落としたりしてもいい。

 あ、なんか割と余裕で国滅ぼせるわ俺。

 いやまあ流石にそんなことするつもりは今の所ないけどね。さてとお金手に入ったし。買い食いに行きますか。空間魔法・空間転移・さっきいた酒場」

 そして俺は転移した。

 ――――――――――


「ギャアー、化け物ーーー」

 いきなり悲鳴を上げて酒場にいた客達が逃げていった。


「あれ、どういうことだ」

「この化け物、覚悟しろ」

 そう言ってスキンヘッドのオッサンが俺に大剣で斬りかかって来る。

 それを片手で止めて大剣をへし折る。


「ヒ、ヒヤーーー」

 しょんべん漏らしながらオッサンが逃げていく。


「そして誰もいなくなった」

 ちょっと言ってみたくて言ってみました。なんかセリフカッコイイし。


「じゃないよ、何で、俺が来た瞬間とんでもない化け物にでも出会ったように逃げやがって、どこからどう見ても子供の姿してるだろ、ん?ちょっと待てよ、姿・・・ん?あ~~~分かったよ俺って悪魔化、鬼人化、獣人化解除してないじゃん、すっかり忘れてた、悪魔化、鬼人化、獣人化解除」

 これで大丈夫っと、さて、気を取り直して俺は買い食いをするぞ。

 というか両替しようとしただけなのに俺はどんだけ面倒事起こしてるんだよ。ヤバいだろ俺。

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