七にまつわる俺達のアンラッキーと

アキノリ@pokkey11.1

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酒井七尾はあまりに不幸である。

つまり俺の事であるが.....マジに不幸としか言いようが無い。

何が不幸かって言えばそうだな。


例えば犬のフンを頻繁に踏むなど.....ちっとも良い事が無い。

でも親は恨んではいない。

何故ならこの俺に名前を付けてくれたのだから。

でも不幸すぎるので何とかならないものか、とは思うが。


「.....いつか良い事があれば良いなぁ.....」


そんな事を呟きながら学校に行く為に電車に乗ろうとした時。

電車が来ているにも関わらず近付いて行く女子生徒が居た。

俺は!?と思いながら見ていたが。

最終的に飛び込もうとしている事に気が付く。


「オイオイ.....嘘だろ」


俺は鞄を叩き付けてそのまま飛び込もうとした女子生徒の肩を掴む。

それから、何しているんだ!、と声を掛ける。

すると女子生徒は俺を見上げてから俯く。

その女子生徒の姿を見ながら周りの人が呼んでくれた駅員さんに引き渡した。

そして俺は、でも防げて良かったな、と思いながらそのまま見送る。


その際に駅にあった犬のフンを踏んだ。

やっぱり俺の不幸は変わってないな、と思いながら苦笑しながら学校に登校する。

それから授業を受けてから.....そのまま帰宅しようとした時。

声を掛けられた。



七と言えば本当に不幸な数値だと思える。

私にとっては.....そんな7という数値が嫌いだった。

数学もそうだけど。

一般生活での7も.....全部嫌悪した。

何でそんなに嫌いかって?


私の名前がその名の通りアンラッキー7だから。

何処がといえば私の名前が鈴木七色(すずきなないろ)だ。

だから嫌いだったのだ。


いじめを受けていて.....死にたいって思った。

だから私は電車に死んでやろうと思って飛び込もうとしたのだけど。

男の子に救われた。


私は私を救った事を聞きたくてそのまま彼の学校を割り出した。

確か城島高校の生徒だ。

そう思って校門で待っていると。

その彼がやって来た。

それから私を見て驚愕する。


「今朝の子?」


「.....はい。その節はお世話になりました」


「.....そ、そうだね」


彼はナヨッとしていて。

とても頼りの無い少年だった。

私はその様子に聞いてみる。

この胸に秘めた質問を打つける。


「私を生かしたのは何故ですか」


「.....え?.....あ.....君に生きていてほしかったからだよ」


「.....私を生かした責任取ってくれますか」


「ど、どういう責任?」


私は彼をジッと見つめる。

アンラッキーなのに何故.....生かしたのか。

考えながら見つめる。

すると彼は、気まぐれって言ったらそれまでだけど。.....でも俺は君に本気で生きていてほしかった、と答えてくる。

私は!と思いながら彼を見る。


「俺は.....君という人に生きてほしかったから。.....どんな事情があっても自殺はダメだ」


「.....私の事なんか知らないでしょう.....。事情を知らないのに救うのは反則です」


「.....どんな事情であっても命を捨てるのは良くない。俺も不幸な人間だからな。生きていたく無くなるのもたまにあるけど.....」


「.....」


私は彼を見ていて思った。

そうか彼も不幸なんだ、と。

思いながら私は、じゃあ私に教えて下さい。生きる価値を、と言ってみる。

それから彼を見た。


「.....それは.....」


「.....付き合って下さい。私と」


マスクをしていたが私は言ってから外した。

そして彼は驚く。

どうせこの人もそうだけど。


こんな軟弱な私と付き合いたく無いって思う。

何故なら私の顔には。

大きな地図の様なシミがあるから。


「付き合って下さい」


「.....お前.....そんな。病気なのか?」


「.....色素の反射出来ない事によるものです。.....付き合えますか?私の顔の様な化け物と」


「.....」


彼は顎に手を添えて考え込む。

私を素直に死なせてくれれば良かったのに。

思いながら私は彼を見る。


それでも生かした責任を取ってほしい。

取れるものなら。

思いながら居ると彼は、付き合う、と答えた。

それは私にとっては予想外の答えだ。

え?、と反応してもう一回言う。


「え?」


「.....外見じゃない。.....人は中身だ」


「.....え.....」


あれ?、と思いながら私は赤面する。

何か耳まで熱くなってきた.....。

な、何故に効かない?

私の言葉が、だ。


「.....君に歩み寄って正解だったな」


「.....」


「.....彼氏彼女になった限りはこれから何があっても俺は君を守るよ」


「.....ふぁ?」


やりくるめられてしまっている。

この私が?

そんな馬鹿な。

これはいけない。

何故.....効かないのだ私の言葉が。


本当に好きなのだろうか。

私の事が、だ。

すると肩を掴んできた。


「そうか。今までのこの俺の不幸は君に出会う為にあったんだな」


「.....」


「可愛いじゃないか」


「.....!」


本当におかしな人だ。

この男の子に陥落させられた。

そして付き合う事になる。

でも.....幸せだなって今は思う。

私は本当に。

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