認識番号0077 コードネームは「ミラクル6」

わたくし

7回目の任務

 俺は某組織の工作員だ。

 暗殺から破壊工作、要人誘拐まで何でもやる。

 俺のコードネームは「ミラクル6」どんなに困難な任務でも6回は必ず成功するからだ。

 しかし、別名「アンラッキー7」とも呼ばれている。


 不思議な事に7回目の任務は外的要因で必ず失敗してしまうのだ。

 ある時は狙撃した射線上に偶然、鳥が横切り弾が目標に当たらなかった。

 又ある時は通過する列車に乗る標的を狙っていたが、偶然ダイヤが乱れた対向列車がすれ違い狙撃が出来なかった。


 失敗しても組織自体には影響が無いので、最近の7回目の指令は身辺調査などの軽い任務が多くなった。

 その後、6回の困難な指令を易々と遂行するのだ。


 何巡目かの7回目の指令は珍しく暗殺命令だった。

「敵組織の工作員と我が組織の裏切り者が某所で密会し情報を渡そうとしている」

「敵工作員はそのまま見逃せ、別働隊が尾行して敵アジトを探索して壊滅作戦を行う」

「工作員0077号は裏切り者が誰かを確認し、直ちに粛正を実行せよ!」


 ある日の夜、繁華街の裏側のラブホテル街が見渡せるビルの屋上に俺は居た。

 道行く人々を暗視装置付の双眼鏡で監視する。

 来た! 指令書に添付していた写真と同じ顔の敵工作員の男が女を連れて歩いていた。

 女は街娼を装っていたが、明らかに商売女とは違う仕種をしていた。

 女は男の腕に絡み寄り掛かり、あるラブホへ入っていった。

 ラブホの看板の明かりで女の顔がはっきりと解った。

「あいつは…」

 俺は双眼鏡を外し頭を抱えた。


 情報を渡すだけには長く、男と女の行為をするのには十分な時間が過ぎた。


 ラブホからは男が先に出て来た。暫くして女が出て来た。まるで不倫カップルが行なっているのと同じように…


 俺は無線で別働隊へ連絡すると、狙撃銃を構え裏切り者を狙う。


「今回は俺も組織もアンラッキー最悪だ…」


 俺は今朝「いってらっしゃい」のキスをした顔に照準を合わせ、引金を引く。

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認識番号0077 コードネームは「ミラクル6」 わたくし @watakushi-bun

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