12 カウンセリングといこうか
さぁさぁ、筋トレという文化に初めて触れた異世界人にインタビューをしてみたいと思います。
最初のインタビューの相手は、イリア。
プロテインのチョコ味を食べてから、様子がおかしくなったこの子に話を聞いてみよう。
……おっと? 初めてのインタビューで不安か?
インタビューってなんだって? なんだそんなことか。やっていく内に分かる。こういうのはフィーリングだよ。じゃあ、レッツゴー!
Q、はじめまして、自己紹介をお願いします。
A、イリア。前は騎士団にいたが、退役……というか、追放というか
Q、最初に筋トレをした感想を教えて下さい
A、同じような動きはしたことがあった。が、やり方が違うと指摘してもらってからやってみると、たしかに使っている筋肉が違った気がした
Q、ぶっちゃけ、筋トレへのイメージはどう?
A、えっ、っと……
Q、率直な気持ちでいいよ。イリアもまだ数回しかしてないんだし。
A、楽しくはある。が、たくさんの回数ができてしまうから、先に息が上がるから疲れるかな。
Q、なるほど。じゃあ、オレ(カシ)に対して一言!
A、一言……! あのっ、プロテイン、美味しかった! あれから毎日もらってるから、なにかお返しをしたいんだが──
そんなん要らん。これからもよろしくな!
はい、インタビューはここまで。
次は誰にしようかな。個室に呼び出してしていくから、周りに声が聞かれる心配はないし、ここらでみんなの話もしていくか。
次の方どうぞ〜っと、次はカンナか。
Q、はじめまして〜。自己紹介をお願いします。
A、はあっ!? またぁ?……カンナよ。
Q、もともとは何をされてたんですか?
A、冒険者よ。って、知ってるでしょう? 追い出されたのよ、これで8つ目……ほんと、ヤ。只人って話づらいのよ
Q、なんでそんなに追い出されたんですか?
A、……女が、うるさいのよ。キンキンとね。男に色目を使った、とか、なんとかってゴニョゴニョ……。
Q、女社会は大変ですねぇ。それでは、筋トレの話なんですが
A、アンタもそうなんでしょう!? 只人なんだし、ワタシのことを……そのっ、いやらしい目で……!
Q、ちょっと何言ってるのか分からん。尻のちっさい女に興味はないんだが?
A、嘘よ!! アンタも同じ──
以後、同じようなやり取りが見られたため、省略。
落ち着いたカンナに最後の質問として、筋トレの感想を聞いた。
A、筋トレっていうのね、あれ……流れでやるはめになったけど、まぁ、悪くはなかったんじゃない……? 疲れたケド
へんって顔で部屋から出ていった。女ってのは大変だなぁ。
男はそこらへん楽でいい……とでも言うと思ったか? 男も最近はネチネチしたヤツ増えてきたからなぁ、大変なんだよ。はぁ〜、コミュニケーションって面倒くさいよなぁ?
はい、次の人〜。お、そのぴょこって見えるお羽はもしや〜?
「やっほ! エルだよっ!」
キタ〜。ってなんだこのノリ。エルは後輩にいた活発な女学生と親戚の元気な姪っ子にそっくりだ。
いぇーい、ハイタッチ。じゃあ、おすわりくださいねぇ。
Q、自己紹介は……もうしたけど、一応お願いします。
A、エルだよ!
Q、はっぴー、ひゅーまんっ! ふんっ!!
A、はっぴーはーぴー!!
Q、んんっ、えぇっともともとは何をされていたんですか?
A、新聞屋さんだったんだぁ。バサバサとね、色んな所を飛び回ったり、鳥さんを調教したり。でも……んー……えへへ、辞めさせられちゃったんだぁ
Q、なんで辞めさせられたの?
A、見える? このお羽。
Q、それでは、今はなにをされてるんですか?
A、今は、なにしようかなぁってしてる途中。なにしよっか……えへへ
Q、初めての筋トレはどうでしたか?
A、ここがね、とっっっても痛くなった!! あと、羽が無意識に動いちゃって、隣の
Q、またしたいと思いましたか?
A、ん〜、痛いのはヤだから悩んでる! でも、みんなでああやってなにかするの楽しかったから、またあるならやりたい!
Q、それでは、最後に、ぼくのことをどう思っていますか!
A、面白いお兄ちゃん!
うんうん、エルはあまり筋トレに前向きではなさそうかな。
今回のは特に目的を決めずにやったし、腹筋ってのはじわじわくる嫌な辛さだからお気に召さなかったんだろう。
でも、エルのあの胸はいい胸筋だ。腰回りと足、肩もあればいい体になる。本人が望んでなかったらしないけど。
それにしても、羽の生え変わりかぁ。種族が違えば悩みが違うんだなぁ。
「入ったらいいのか?」
お、生意気そうな声。ルポムだな。
はーい、かかってこーい。
「はいはい。なんだよコレ」
インタビューだって言ってるだろー? 質問を聞いて答えるだけ、数分だから付き合ってね。
Q、自己紹介をどうぞ
A、ルポム。
Q、前は何をされていたんですか?
A、傭兵だ。訳あってやめることになった
Q、何があったんですか?
A、…………見りゃあ分かんだろ。角が一本だけになったんだよ
Q、一本になったら何があるんですか?
A、はぁ!? おまえっ……本当に何も知らないんだな。……だから、まぁ、こんな感じなんだろうが。いいか?
Q、へぇ〜、じゃあ、角が生えてきたら体が大きくなるんですか?
A、自然に生えることはねぇよ。昔にも角を失ったヤツがいた。したら死んだよ。力は落ちるし、背丈は小さくなるし、声も若返る。こんなんじゃあ、メスにも勝てねぇ。
Q、ふぅん、筋肉みたいなもんか。じゃあ、筋トレの感想はどうだった?
A、オマエって結構、残酷なのな。これだけ喋ってやったのに……まぁいいや。どうって言われても、特にねぇよ
Q、楽しかったとか、つまらんかったとか
A、つまらなくはなかったが、楽しくもなかった。あとに食った飯のことしか頭にねぇな
Q、じゃあ、最後にオレへ一言!
A、また美味い飯食わせろ」
胃袋掴まれてて笑う。
ルポムもなんだか大変そうだなぁ。自然界に生きる種族って感じだ。でかけりゃ強い、小さけりゃ弱い。
角が無くなって弱くなった、かぁ。……ふむ。女の子になった訳じゃないから、戻りようはありそうだが……。
「お〜い、入るぞぉ」
この声は、マレウスだな。はい、どうぞ〜。
って、おいおいおい。何持ってきてんだよ。
「おん? こりゃあ、酒だわな。うんめぇぞぉ? 寝る前にな、こう、クイッと飲むわけよ」
はい、没収。なに言ってんだか。
「
知るか。酒ばっかり飲むから、腹が出るんだろう。
しばらくの間は付き合ってくれるんだろう? 禁酒生活も悪くはないぞ。
Q、はい、自己紹介をどうぞ。
A、マレウス。
Q、前は何をしてたんですか?
A、……
Q、なんで、やめちゃったんですか?
A、それは言えん。繊細な所じゃからの。
Q、うーん、じゃあ初めての筋トレの感想は?
A、新鮮な感じがしたぞ! じゃが、腹がいとぉていとぉて……。次やるのは楽なのがええのにしてくれたら助かる
Q、それじゃあ最後にオレへの一言!
A、お前さんが何を考えとるんかは知らんが、面白い男じゃと思うとるから酒を返せェッ!!
結局酒を奪い返された訳だが、まぁいいか。
酒に含まれるアルコールってのは厄介でな、摂取したアルコールを分解するには水とたんぱく質が必要になってくる。
度数が高くなればなるほど、使われるそれらも多くなるってこと。
「カシ殿〜、入っても良いか〜?」
おうおう、アッパコムぅ。オレの初めての従業員!
Q、自己紹介をどうぞ!
A、アッバコムパンセイショ。
Q、前は何をしてたんですか?
A、各地を旅しておりました。神官なのはそのためですな。寝泊まりする場所があるというのは、やはり良いことです
Q、初めての筋トレはどうでしたか?
A、今までしたことのないような刺激が入り、戦士であった時の記憶が蘇ってきそうでした。武器は長らく持っていませんからねぇ、自衛用の武器はもってはいるんですが
Q、ちなみに武器はなにを?
A、大槍。錫杖を変形させられるようになっています。内緒ですよ?
Q、かっけぇ……。あ、じゃあ、最後になるんだけどさ、オレへの一言!
A、主人の野望のために、このアッバコムパンセイショ、誠心誠意奉仕いたします
こんな感じかぁ。
異世界にやってきて、15日が経った。
やってきたのは自重トレーニングだけ。
異世界には慣れてきたとは思うぞ。まぁ、オレは岡山市出身じゃあないからな。もともと、田舎のほうだったから岡山市に出てきた時にはそれこそ異世界みたいなもんだった。から、あんまし緊張はしてないってのが本音かなぁ。
道路で暴れ狂う倉敷ナンバーはいないし、岡山駅でたむろする学生もいないし、ジムにやってくるガラの悪い兄ちゃん達はいない。
うん、住心地はこっちのほうがいいまでもある。
でも、不満はなぁ……あるもんだ。
そろそろ……トレーニングのバリエーションを増やしたいんだ。
イリアとはいろんな種目をやってきたよ?
あの五人と会う前にも期間があったから、肩とか背中とか腕とか。それこそ、飯屋の上の丸太を使って懸垂とかしたけどさぁ……そろそろ、やっちまってもいいんじゃないかね。
あまり、MPも無駄遣いはしてこなかったからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます