11 胸肉で仲間が増える世界か
「うま……、え、本当にアンタが作ったのか、コレ」
「おうよ。言っとくがおかわりはねぇぞ。」
ルポムが目を輝かせてご飯を頬張り、皆が作った料理にがっついていく。作った料理といっても簡単な料理。親子丼だ。
作り方は簡単だ。
まずは下準備としては、
◯下準備で鳥の胸肉の皮を取っておく。
◯MPストアでめんつゆとか砂糖とかオートミールを買っておく。
ちなみに、MPストアは無いものを追加してくれるシステムがあるらしい。お客様の声を聞いて反映してくれているとはなんとも健気な。利用者オレだけだろうがな。
オートミールを入れる理由はカロリーもそうだが、血糖値を急激に上げないためだ。
後はなにもそこらへんの親子丼と作り方は変わらん。油をしかないといけなかったから脂質がちょっと高いがこんなもんだろう。
【 料 理 】カシの親子丼(500カロリー)
【 蛋白質 】52g
【 脂 質 】13g
【 糖 質 】46g
みんなに好評で良かったよ。料理スキルって言ってもオレにはそんなにないからな。
「ちゃんと味わって食えよ〜。筋トレの後は、糖質が主に不足してる。たんぱく質は一気にとりすぎかもしらんが、本格的にトレーニングをするようになったらオレがある程度は管理を──」
「カシ殿!! こ、これはっ、胸肉ではっ!?」
「そうだが、どうした?」
「つ、つ、つまり……ワタシの主人となる、ということで? 合っておりますかな!?」
おいおい、真面目な顔してたアッパコムはどこにいったんだ。
胸肉がどうした? 胸肉がそんなに嬉しいのか?
イリア、説明をしてほしいんだが? あ、知らん顔してる。みんな知らんのか。
「胸肉だけで大げさな。……いくらでも食わしてやるっての」
「いくらでもっ!?」ガタンッと立ち上がった。「本当ですな!?」
おいおい、先行き不安だぞ。なんだこれは。
「……オレがアッパコムの主人になったら、どうなるんだ?」
「絶対的な忠誠を誓います。命令もなんでも聞き入れましょう」
右胸に手を当てて、左足を引いて礼をしてきた。えーと、だから、なんなんだよ。
「あ、知らないのね。アッパコム……であってるわよね?
「耳長の『昔』っちゅーもんはいつの時代を指すんかのぉ?」
「そんなのちょっと前よ、ちょっと前」
マレウスの指摘に、カンナはベェと短い舌を出した。
「
「
ほぉ、胸肉か芋。どれも筋トレで食うものじゃないか。筋肉の種族か?
「その風習が廃れてんのに、アッパコムはなんで主従関係になりたがってるんだ?」
「それは、拙僧が流浪の身であるため。昔の
「ドラゴン?」
「いかにも。長く旅を続けて来ましたが……未だに答えは見つからなかった。ですので、一度、立ち返ってみようかと」
なるほど、龍になるために祖先がやっていたことをやってみようって感じか。
胸肉を食べさせるだけでオレを守ってくれるなら願ったり叶ったりだ。異世界の知識はある程度は得たけど、まだまだ何があるか分からんからな。
今の所、倉敷のほうが危ない場所だからなんてことはないんだが。
「分かった。じゃあ、よろしくなアッパコム」
と手を差し出したが、これは、あれだな。従者ってのはいまいちピンと来ない。現代に置き換えると従者ってのは何に当たるんだろうか? あ、あれか。
「従業員……トレーナーか」
「?」
「給料は、胸肉……おぉ、労基も気が狂いそうな条件だな。が、いいか。よろしく、アッパコム!」
熱い握手を交わして、その日は幕をおろした。
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