08 愉快なメンバーを集めれたぞ
こうしてめぼしいヤツに声をかけていった結果、なんとも面白い結果となった。
集まったメンバーを紹介する前に……気になるおカネの精算だ。
え、気になるって? あははは、まぁまぁ、待て待て。
何事もインターバルってのは大事だ。
特に10秒くらいでずっと足パカをしてる女の人。それは意図的にレストポーズを無限にしてんのかい? オレはちゃんと二分くらい休憩を挟んだほうがいいと思うがね。
じゃあ、そんなインターバル中に聞いてくれ。
金を返すために始まった十五日間にも渡る飯屋のお仕事で、8万ウォルも頂いた。それも一人ずつだ。
なんでか予想よりも多かったカネに説明を願うと、どうも売上がめちゃくそ上がったらしい。
イリアとオレがかけずり回ったこともあるし、酔っ払ったヤツを片っ端からねじ伏せていったってのもある。
治安維持ってのは、どの場所でも大事だ。
ちなみに、ジムトレーナーのお仕事の一つでもあるぞ。オレはどんなマッチョだろうが、見た目が怖いヤツだろうが、バッドマナーの人には声をかけないといけないからな。
一時期なんか「マスクお願いします」って言って、なんかい「化粧が崩れるでしょうが!!!」って耳元で騒がれたか分からん。
それに「オレは〜」とマスクを否定するちり紙までもらったこともある。世界ってのは広い。
で、まぁ、カネ周りはそんなもんだ。ちなみに、安定するまで仕事は継続することにした。願ったりかなったりだ。
立派なお髭の店長さんとも仲良くなったしな。逆に今までどうやって仕事回してたんだよ。
じゃあ、本題に行こう。二分くらい経ったろ。
紹介します。集まった、イカスメンバー達だ。
「名前を、どうぞ」
オレとイリアが腕を組む前で、五人は顔を見合わせて手を差し合い出して、一番右の人から話し始めた。もちろん、オレからみて右だ。
「ワシん名前はマレウス。見りゃあ分かると思うが
髪の毛がほとんどなくなった代わりに鼻髭が顎髭が生えているイカス
うんうん。やっぱり他の人に比べたらちっさくて可愛いが、一番威厳のある顔をしてる。なにより、鼻髭がキレイに束ねられ、顎髭も左右で三編みにしてるっていうオシャレさんだ。これは時代の最先端だろう。オレには真似ができないオシャレだ。
あと、スミスって聞いたからオレが誘った。心踊るよな。
「スミスってアレだよな。軌道が決まってて、10キロな時もあれば、20キロの時もあるし、中途半端な重さの時もあるアレ」
「なんもきまっとりゃあせんぞ? なにと勘違いしとるんじゃ?」
違ったらしい。どうしよ。まぁいいか。これもなにかの縁だ。
「次はわたしですかな。私の名前はアッパコムパンセイショ。
うん、蜥蜴が喋ってる。いや、もはや小さなドラゴンみたいな頭をしてる。火とか吹けないのかな?
だが、あなどるなよ。眼鏡を付けてるんだ。一番賢く、真面目そうな見た目をしてる。だって、羽織ってるのがたまに見かけてた神官って職業のソレだ。人間が着てたのとはちょっと違うが、分かる。コイツは論文とか大好きなヤツだ。好きな言葉は「メタアナリシス」だろう。
名前が面白そうだったからオレが誘った。
「……ルポム」
「おいおい、それだけか?」
「……種族は見てわかんだろ」
「分からん。オレは岡山出身でな。そんな肌と角なんか見たことねぇんだ。ハロウィンの岡山駅にもいない」
「???
おぉ、
体がデカイ種族だろう? が、本当なのか? どうみても、ルポムと名乗ったこの少年の体は大きくない。
小麦肌というのには黒く。強膜も黒い。街で遭遇したら「悪魔だ」となるパターン。でもご安心を悪魔ではないらしい。
イリアが選んでくれたのだから、なにか理由があるのだろう。期待をしておこう。
「あ、わたし!? わたしはねぇ〜。エルっていうんだ!
白と黄金色が混ざった羽をバサバサとさせる彼女は、オレが目をつけた。
なんていったってデカイ。胸が圧倒的にデカイ。鳩胸ってのは本当にあったんだ。すげぇや。
が、チキンレッグがすぎる。このアンバランスをどうにかしたいが、なんでそんな胸がはみ出るような服を着てるんだ。ルポム少年が恥ずかしそうじゃないか。男の子には刺激が強いんだ。
おっと、なんでイリアこちらを睨む? オレの横乳もはみ出てるか? 残念だ。今日はタンクトップじゃないからな。
「じゃあ、最後に……」
「……カンナ」
「橋本〜?」
「カンナ! え、なにが?」
知ってるぞ。この耳が長いのは
この女性もまさにそれだな。厳しそうなかおをしてる。イリアが選んだヤツはこういう気難しそうなのが多いな。が、気難しいヤツは嫌いじゃあない。オレが嫌いなのは春に増える勘違い大学生だからな。マナーも護らなきゃ、マシンも独占する。ガシャンガシャン煩いんだよ、あの手の奴らは。
「よし、これで紹介が終わったな。じゃあ、早速やるぞ〜。人数増えたから、セミパーソナル形式で行こうか」
「なになに〜? なにやるの〜?」
「筋トレだよ、エルさん」
「エル! さん付けなんてしないでよ〜」
「じゃあしない!!!!」
「あははははははははっ! やった〜!」
「オイオイ、ちと待ってくれ。なんでわしらは集められたんか、先に聞きたいんじゃが」
「オッサンの言う通りだ。理由をきかせろ」
「うん? あれ、あー、言ってなかったっけ」
イリアも言ってないらしい。そうか、なら言おう。隠してるわけでもない。
「ここにいるメンバーはとある条件を満たしてるから、集められたんだ」
そう、目ぼしいヤツといっても解釈違いが起こる。
だから、ある程度は明確にしておいた。
第一に気に入ったやつはもちろんとして、
「ここにいる方たちは、それぞれが元いた場所から追い出された方たちになります」
五人が顔を見合わせて、牽制しあいの始まりだ。
え、オマエもそうなのか? って顔をしあってる。そうだ。みんな訳ありだ。
飲みの席で直接聞いた話もあれば、騎士団にいたイリアの情報網から得た話もある。ちなみに、エルは飯屋じゃなく、そこらへんで倒れてたんで飯を食わせたら話し出してくれた。
「公開してもいいなら公開をする。が、それは関係性が出来上がってからで遅くない。だって、五人が五人とも、今日の寝泊まりするカネもなけりゃ、飯を食うカネもほとんどないんだ。だったらどうだ? ちょっとした暇つぶしだと思ってくれりゃあいい」
「その筋トレってのは……なにをするの?」
「なんでもするぞ。が、言ってしまえば自分磨きだな」
さてと何からしようか。この間はプッシュアップ(腕立て)をしたから、自重トレーニングの代表格でもしてみるか。
「じゃあ、今日は腹筋トレーニングだ」
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