金曜日 ー紫ー


バイトを上がり髪をポニーテールにまとめ、黒色が基調で紫色のラインが入ったジャケットにジーパンと紫色の靴下を履いた私は街を闊歩していた。未だ私の探し物は見つかっていない。

方角だけを決めて、普段は通らない道を通った。このまま右に進めば、見慣れた風景が立ち並んでいる。

新しい景色に目を刺激されていた。

うわぁ、この家でかぁ。

この二軒同じ外見じゃん。飽きないのかな。

外車だー。すげー。

3階建……。

新たな発見はあったが私が納得できるものはなかった。

すると葉っぱが生い茂った建物が目に入る。

木造一戸建てで半壊状態。中が覗けるが何がなんだかわからない。リアルに家の断面図を見ているようだった。

物珍しさからか私は時間をかけてその半壊の家を眺めていた。

ここの元の住人はガーデニングが趣味だったのだろうか。敷地内には背の高い草が生い茂っているものの、カラフルな花たちがいたるところで咲いていた。

しかし私の目にはとある花しか見えていなかった。


「これだ……」


そこには紫の花。パンジーが咲いていた。

 

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