アンラッキー7〜不幸な俺はラッキーな七人と青春したい〜

速水すい

不幸な俺と七人のラッキー少女

春、入学式で出会いの季節だ。

先輩達は一学年上がり、クラス替え。新入生は新しい友人に恵まれて楽しい会話に花を咲かせる。いい、実に、青春ぽくて。


響き渡る生徒達の笑い声、仲良い人が出来て話題は様々あるだろう。



青春とは淡くて儚い、一瞬の時間なんだ。

マジ返せよ、マジで、出遅れスタートダッシュ決めちゃって気まずいんだよ!!



トントンっと作文紙を整えて口開く。



「――――ってなんの作文だこれ。あれ? なんの題材で書くんだっけ?」



一年生担任の時岡先生である、俺が書いた力作を煽りを受ける水類水一すいるいすいいちである。いや、タイトル的に"出遅れた青春返せ"だぞ。ちゃんと出来てるだろ。



「出遅れた青春返せ」

「タイトル通りだけど、違う違う。出遅れた理由を書いて欲しいわけよ」

「出遅れた理由? 事故です」

「それを書いてくれよ」

「嫌です」



何故に書きたくない理由、簡単である。

通学途中で、不幸にも車に跳ねられ足を骨折。しかも跳ねたのは、高級車に乗っていた郎爺だった。そんなの書いても花がない。


「んー、これだとなぁ」

「ダメなんですか?」

「まぁ、停学になる」

「はぁ?」

「ここの学校、理由もなく休むと停学になるんだよな」

「何そのブラック学校」

「それを選んで入学したのは水一お前だろ」


まぁそうだが、偏差値が高くない学校選んだけどこんな校則は知らぬ。


「とりあえず書き直せよ、明日までに」


そう言われてまたもや作文紙を受け取る、深いため息を吐いて廊下を歩く。

みんなワイワイやってていいなぁ。


「あ、あのー」

「ん?」


死んだ目には少し刺激がある美少女が現れた、制服は有名なお嬢様が通う女子高の刺繍されている。白いブレザーの服を着てる子だった。

目の前で見るのは初めてだな。



「水類水一さんいますか?」

「俺だけど」

「ちょうど良かった!! ちょっと来てくれるかな」

「え? あ、おいっ!? どこに連れていくきだ!?」

「ついてくれば分かるよ」


名を知らない少女に手を引かれて走る俺、どこに連れていかれるんだ。

数分後とあるリムジンの車前である、見覚えがある老爺が執事姿でいた。



「あ、あん時のジジイ!!」

「あの時は慌ててた故、貴殿を跳ねてしまい入学式を送らせてしまった事をお詫びしにまいりました」

「お詫び?! 不運から離脱させる方法あるのか?」

「ないです、代わりと言っては何なんですが。お嬢様と学校を共に通う話でして」

「は?」

「私は、貴殿を引き取り。育てることに致しまして」

「え?」

「これを破棄するならば、一億円お支払いください」

「ありがとうございます!!」


俺は後ろを振り返り少女に迫真な顔で言う。


「つまり、どゆこと?!」

「えーとね、経緯は車内で話すわよ。さぁ入って」

「はぁ? お邪魔します」



車内に乗ると、シャンデリアがあるじゃない。わずかながらいい香水が鼻を突抜ける。



「さて、どこから話しますか?」

「今までの経緯を」

「まず、貴方様を轢いた老爺は私の執事なんですよ。四月の入学式、自転車で疾走する水一を跳ねちゃいまして。遅れて入学まではいいかしら?」

「まぁそうだからな」

「確定ぼっちと言う自体にさせてしまったので、私が通う学園に特別に入学するって話になります」



確定ぼっち!? ちょっと嫌味を言いやがる。

って俺は思いましたが、なんとじ女子高に入学するイレギュラーが発生しました。

ば、バグっていいですかァァァァ!!?



「あ、あの」

「はい?」

「俺男子っすよ」

「基礎的に男性慣れてもらうためにね。ほら、社会に出たらね」

「そんな感じで入れんのか? 花園にさ」

「大丈夫、やましい事は君は出来ない」

「確信あるのか?」

「うん、不運強過ぎだから」



つまり拒否権は無いのと、それは言わないで欲しい感ある。小さな頃から、不運でそれこそコケて物壊したり骨折したりとか。

誰得な展開もあり、不運強過ぎとはこれが原因だ。


「私の通う問題もあるからね」

「問題?」

「んー、学園に着いたら教えるわ」



何か嫌な感じしかしない、意味ありげ過ぎるな。リムジンは、女子高の敷地内に入る。

リムジンから外に出ると、顔に何か布切れが被さる。手に取るとパンティー。



「な、なんでパンティーが!?」


俺は動揺を隠せない、お嬢様しかいない女子高である有名なんだけど。イメージ崩壊。



「問題はね、常識がない事だよ」

「はぁ!?」

「私と他六人と君で、生徒に常識を教える。君は不運が凄いからやましい事がないって判断したのよ」



これは飛んだ青春ぽいのが始まったそんな気がした。少女の靡く髪の毛は光に反射して綺麗な姿が目に写る――――。



「ふ、教えてやるよ」

「え? いいの?」

「頼みだしな」

「ありがとうっ!!」


少女に俺はハグされた、いい香りである。

一瞬だったが、手を引かれる様に女子校へ向かった。



――――これは不幸少年アンラッキー幸運ラッキーの少女七人による常識がないお嬢様達による淡い青春である。




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