ラッキー7の代償
武海 進
ラッキー7の代償
7、それは世間では幸運の数字と認知されている。
由来は諸説あるのだろうが今の俺には関係ない。
何せ俺には幸運どころか不幸を運んでくるからだ。
事の発端は先日のカジノでの大勝ちに遡る。
休日だった俺は一日中カジノに居たのだが大いに運に恵まれていたらしく、スロットで7が何回も揃いスロットマシーンが滝の様にコインを吐き出した。
今までの負けた分どころか数か月分の月収を一晩で稼いだ俺は神に感謝し、腕に幸運を運んできてくれた数字である7の入れ墨を酒の勢いで彫った。
だが7が俺を幸運にしてくれたのはここまでだった。
次の日からは7は幸運の代償とばかりに不幸を俺に届け始めたのだ。
一つ目の不幸は出勤中に7回連続で信号に引っ掛かって遅刻したこと。
まあ、これはこの後の不幸に比べれば可愛らしいと言える。
二つ目の不幸、これが酷かった。
仕事の帰り道、夜の7時丁度に7777のナンバープレートの信号無視の車に引かれた。
7日間生死の狭間をさ迷った俺は何とか一命を取り留め、7か月程の治療とリハビリを経て退院した。
ラッキー7という言葉があるが、確かにカジノでは言葉の通り俺に幸運を運んで来てくれた。
だが、その後の不幸にも7という数字が付きまとった。
俺には7が幸運の代償に不幸を運んできたように思えて仕方が無かった。
そうなると腕に彫った7がとても忌々しく思えるようになった俺は包帯を巻いて隠した。
しばらくの間そうやって7という数字と幸運に怯え、なるべく関わらない様に日常生活を過ごした。
そのお陰か俺に良いことも悪いことも起こらない平穏な日々が続いた。
しかし、平穏とは人から危機感や恐怖心を失わせるらしく、俺は7か月ぶりにカジノに来ていた。
流石にこの前みたいなことは起きないだろうと思いながら俺はスロットで遊び始める。
だが、俺はスロットで遊んだことを激しく後悔した。
また、7が三つ揃ったからだ。
ラッキー7の代償 武海 進 @shin_takeumi
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